自動車の「運転支援システム」、実は危険だった? 人間の学習能力が裏目に―衝撃の米国研究が明らかに

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運転支援システムの進化は目覚ましく、2024年7月から欧州で新車への搭載が義務化される一方、米国での調査では依存によるドライバーの集中力低下が浮き彫りに。ボルボS90やテスラモデル3での実験結果から、安全運転を実現するためにはさらなる対策が求められる現状が明らかとなった。

習慣化する警告、さらなる対策が必須

リポート「Drivers quickly learn to skirt limits set by partial automation systems(ドライバーは、部分的な自動化システムによって設定された制限を回避することをすぐに学ぶ)」(画像:米国道路安全保険協会)
リポート「Drivers quickly learn to skirt limits set by partial automation systems(ドライバーは、部分的な自動化システムによって設定された制限を回避することをすぐに学ぶ)」(画像:米国道路安全保険協会)

 IIHSの上級研究科学者であり、テスラの研究主執筆者であるアレクサンドラ・ミューラー氏は、今回の結果がドライバーの習慣を変えていることを示している一方で、より安全な運転の実現にはさらなる対策が必要である可能性があると警鐘を鳴らしている。

「これらの結果は、段階的に強化されるマルチモーダルな注意喚起が、ドライバーの行動を変えるのに非常に効果的であることを示しています。しかし行動の変化が実際により注意深い運転につながるようにするには、より優れた安全策が必要です」

とミューラー氏は述べている。

 人間は便利さにすぐに慣れるため、今後は警告をランダムに発するなど、バリエーションを増やすライフハック的な工夫が必要になる可能性がある。

 運転支援システムは将来の「レベル4」自動運転に向けた重要な技術として開発が進められているが、あくまで運転をサポートするものであり、ドライバーは常に気を引き締めて運転し続けることが重要である。

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