「もう限界」 京都の叡山電鉄、訪日客殺到で「積み残し」発生! 2両編成が突きつけた紅葉観光の現実、観光客分散策も裏目に
紅葉シーズンの京都・洛北では、叡山電鉄が訪日客のラッシュに直面している。乗車拒否が出るほどの大混雑の影響で、地域住民の生活にも支障が出ている。さらに、観光地分散を目指した施策が逆効果となる事態も発生。2両編成や単線運行といった「限界インフラ」が抱える課題を、データを交えて詳しく解説する。
市は対策を見送り

市を訪れる観光客は2023年1年間で5028万人に上り、コロナ禍前の2019年の5352万人に匹敵する数まで回復した。特に外国人宿泊客は536万人に達し、2019年の380万人を大きく上回って過去最高を記録している(41%増)。2024年は円安が追い風になり、さらにその数が増えたもようだ。
市内で混雑が目立つのは、
・東山区の「清水寺や祇園」
・伏見区の「伏見稲荷大社」
・右京区と西京区にまたがる「嵐山」
・中京区と下京区にまたがる繁華街の「四条河原町」
辺りになる。電車や路線バスの混雑はもはや当たり前。1、2便待たないとバスに乗れないことが珍しくなく、市民の暮らしに深刻な影響が出ている。
このため、市は観光客輸送を第一に考えた特急バスの新設、混雑路線の増便、混雑情報の発信などとともに、有名観光地に比べると混雑度が低い他の観光地を奨励してきた。観光客を分散し、有名観光地の混雑を緩和しようとしているわけで、そのなかに洛北も含まれている。
洛北は「京都の奥座敷」と呼ばれ、春は桜、夏は貴船川の上に納涼床を設置して食事をする川床で知られるが、秋の紅葉シーズンは観光客が最も多く、混雑が以前から指摘されていた。だが、市は今季、混雑情報の発信など特段の対応をしなかった。
地元や叡山電鉄から混雑解消を求める要請や相談がなかったからだ。洛北の業者には年間収益の多くを紅葉シーズンで稼ぐところが少なくない点にも配慮した。市観光MICE推進室は
「地元の要請があれば対応に動いたが、今季は関心を持って推移を見守ってきた」
と説明する。