「シートベルト = 命を守る」は過信だった? 福岡事故で明らかになった、子どもを守るための新しい基準とは
2024年8月、福岡市で起きた悲しい交通事故で、7歳と5歳の女児が命を落とした。ふたりはシートベルトを着用していたが、衝撃を受けて死亡した。その原因は何だったのだろうか。この事故を通じて、子どもに適切な安全対策を講じる重要性と、シートベルトが子どもには必ずしも適切でない場合があることが明らかになった。
シートベルトの適切基準

日本では2000(平成12)年にチャイルドシートの着用が義務化されたが、海外ではどのような基準になっているのだろうか。
JAFによると、ほとんどの国では子ども専用の拘束(保護)装置の使用が義務付けられており、多くの国で身長に関する規定がある。特に135cm~150cmという基準が多く、大人がシートベルトを正しく着用した際、ベルトが骨の硬い部位に適切にかかる身長に基づいている。
例えば、ドイツでは12歳未満で身長150cm以下の子どもを乗せる場合、チャイルドシートを使用する必要がある。イタリアでは、体重36kg以下、身長150cm以下の子どもには、体格に合った保護装置の使用が義務付けられている。
日本ではこれまで、JAFが身長140cm未満の場合、チャイルドシートやブースターシート(背もたれのないタイプ)の使用を推奨してきた。しかし、140cmでも肩ベルトが首にかかる恐れがあることや、シートベルトを使用した子どもが死亡する事故が増加していることを受けて、推奨基準が150cm未満に引き上げられた。
自動車に関するルールの変更は時に混乱を招くこともあるが、子どもを守るための変化は歓迎すべきだと感じる。
小さい子どもを持つ親は、シートベルトの危険性を十分に理解し、子どもに合った安全対策を講じることが必要だ。