北陸新幹線の延伸、「小浜ルート反対」でも5兆円の投資は本当に妥当なのか?

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米原ルートの新幹線建設費用は1.8兆円で、自治体の負担はわずか12~18%だ。滋賀県の負担を軽減するためには、愛知県との連携が重要だ。新幹線整備を巡る政治的な議論が加熱するなかで、筆者は地方負担の公平性と新幹線の意義について考える必要があると強調する。

国債発行の是非を再考

 ここまで米原ルートを支持してきた筆者だが、単に建設費が高いからという理由や緊縮財政論を振りかざして小浜ルートに反対しているわけではない。米原ルート支持によって新幹線に予算を付けることが悪とされる風潮が生まれないか――という懸念があるのだ。

 筆者は新幹線に5兆円をかけること自体は悪いことではないと考えている。

「5兆円かけてでも作ってやる」
「B/Cが1を切ったからやめるなんて国はない」

と強調する与党整備委員長の西田議員の姿勢は、今後の新幹線整備を促進する上で非常に頼もしい。鉄道関連の予算は道路に比べてずっと少なかったことを考えると、こうした「線路族」議員が増えてほしいと思う。

 ここで、2019年10月6日に開催された「山陰新幹線の早期実現を求める舞鶴大会」での西田氏の発言を基に、国家による新幹線建設費の負担について考えてみたい。発言は要約して掲載し解説を加えるが、詳細については「山陰新幹線 西田」と検索し、鳥取県公式ウェブサイトの「山陰新幹線の早期実現を求める舞鶴大会(報告書)」の13~15ページを参照してほしい。西田氏は、

「昭和48年に計画されて以来手付かずの新幹線計画がまだ10路線もある。もしこれを全部やるならいくらになるのか国交省に試算させたら30兆円でできると。もし10年でやるなら毎年3兆円、20年なら1.5兆円です。北陸山陰はもちろん四国も含めたすべての新幹線が10年から20年の間にできてしまうのです。たかだかこれくらいのことがなぜできないのか」

といった趣旨の発言をしており、新幹線整備に対して積極的な姿勢を持っている。西田氏の財源に関する主張には主にふたつの重要な点がある。新幹線の予算を増やすために、次のように提案している。

1.国債をもっと発行すべきだ
2.ただし無限に発行してよいとはいっていない

特に2番目の点は重要なので、部分的にではなく全体を読み通して、西田氏の主張について考えてほしい。

「新幹線を作るため毎年1兆、2兆円を増やすのには国債を発行しないといけない。そんなことはけしからんという世論を財務省が作ってきたが、今一度冷静に国債とは何かを考えていただきたい。結論からいうと、国債発行をすることによって政府は負債を抱えます。しかしそのメリットとして、すべて国民が民間側の財産、預貯金をはじめ、財産を殖やしているのです。これは理屈ではなくて、事実なのです。事実として1000兆円の国債の残高をゼロにするということは、国民側から1000兆円の財産を取り上げて、国家の負債はゼロになる。そんなことをして何かいいことありますか。それでも借金なくなってよかったと?何も良くないのです。そんなことしたらほんとに国家自身がつぶれてしまうことになるのです。ではどちらがいいのかをよく考えてみれば、それは当然国民側に財産を渡すほうがいいに決まっているじゃないですか。そして、これから30兆円の新幹線建設費はじめ、どんどん国債の残高を増やしていいのか、いいのです」

この理屈は会計学を学んだ人にはわかりやすい。国が初めて貨幣を発行したとき、その根拠についてMMT(現代貨幣理論。国家が自国の通貨を自由に発行できるという考え)に反対する人たちからは、明確な説明を見たことがない。

 無からお金を創造するのだから、会計帳簿上で発行者の負債として計上されるのは当然のことだ。そして、これは国にしかできないことだ。

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