北陸新幹線の延伸、「小浜ルート反対」でも5兆円の投資は本当に妥当なのか?

キーワード :
, , ,
米原ルートの新幹線建設費用は1.8兆円で、自治体の負担はわずか12~18%だ。滋賀県の負担を軽減するためには、愛知県との連携が重要だ。新幹線整備を巡る政治的な議論が加熱するなかで、筆者は地方負担の公平性と新幹線の意義について考える必要があると強調する。

小浜・米原ルートでの試算

北陸新幹線(画像:写真AC)
北陸新幹線(画像:写真AC)

 小浜ルートでの距離案分は、京都駅南北ルートの144kmのうち、

・大阪府分は北新地~松井山手間の31.4km(21.8%)
・福井県分は小浜~敦賀間の49.5km(34.4%)
・京都府分は残りの63km(43.8%)

の配分で試算する。

 小浜ルートの新幹線貸付料収入を差し引いた建設費は4.3兆円となり、地方交付税処置により、3府県とも実質負担は最も少ない12%と計算される。これに基づき、5160億円を距離案分の比率で分配すると、次のようになる。

・大阪府分は21.8%で1125億円
・福井県分は34.4%で1775億円
・京都府分は43.8%で2260億円

 米原ルートでの距離案分は、

・敦賀~米原間の45.9km(1.2兆円)
・新大阪~鳥飼間線増分の10km(0.6兆円)

を、

・大阪府分は新大阪~鳥飼間の10km
・京都府分はゼロ
・滋賀県分は米原~近江塩津間の31.4km(68.4%)
・福井県分は近江塩津~敦賀間の14.5km(31.6%)

の配分で試算する。米原ルートの場合、単純に計算すると、新幹線貸付料収入を差し引いた建設費は9000億円になる。しかし、新大阪~鳥飼間の複々線化費用6000億円は全区間が大阪府に属しているため、この分は別に計算することになる。

 まず、新幹線貸付料の充当については、次のように計算する。

・敦賀~米原間と米原車両基地代は1.2兆円
・新大阪~鳥飼間の複々線化費用は6000億円

この割合はちょうど2対1なので、敦賀~米原間には6000億円、新大阪~鳥飼間には3000億円を割り当てる。これにより、国と自治体の負担額は次のようになる。

・敦賀~米原間と米原車両基地代:6000億円
・新大阪~鳥飼間の複々線化費用:3000億円

この結果、地方交付税措置により、自治体の実質負担は3府県とも最も少ない12%の水準になると仮定して計算する。敦賀~米原間については720億円を2県で距離に応じて分配し、新大阪~鳥飼間は大阪府単独で360億円とする。すると、次のようになる。

・大阪府分:360億円
・京都府分:0円
・滋賀県分:68.4%で492.5億円
・福井県分:31.6%で227.5億円

小浜ルートに比べると、自治体ごとの費用負担は非常に軽く、どの府県も地下鉄を1km作る程度のコストになる。しかも、この負担は10年や20年かけて行うため、単年度で見ればさらに安くなる。福井県の負担は1775億円から227.5億円へと、87%も減少する。

全てのコメントを見る