やまびこ脱線で注目浴びる「地震対策」 04年中越地震の教訓とリニア断層問題を考える

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「やまびこ223号」が脱線、17両編成のうち16両にも及んだ。これを契機に過去の脱線事故を振り返る。

17両編成のうち16両が脱線

地震の影響で脱線した東北新幹線やまびこ223号の車両。3月17日午後、宮城県白石市で撮影(画像:時事)
地震の影響で脱線した東北新幹線やまびこ223号の車両。3月17日午後、宮城県白石市で撮影(画像:時事)

 福島県沖で3月16日23時36分頃、最大震度6強の地震が発生し、各地に被害が出た。

 東京発仙台行きの東北新幹線「やまびこ223号」は、福島駅と白石蔵王駅の間(宮城県白石市内)で脱線。脱線は17両編成のうち16両にも及んだが、幸いにも乗客乗員78人にけがはなかった。

 現在、被害状況の確認が行われているが、レールのゆがみや高架の橋脚の破損などが確認されており、3月中の復旧は困難とされている。

 しかし過去の事例を教訓に、脱線による転覆を防ぐ装置が整備されていたため、被害が最小限に抑えられたとされている。白石蔵王駅に停車する減速段階で、「早期地震検知システム」が初期微動を検知して非常ブレーキをかけた。被害を最小限に抑えられ、新幹線の安全性の高さを改めて証明するものとなった。

 なお、営業運転中に脱線事故が起きたのは、2004(平成16)年10月23日に発生した新潟県中越地震が初めてだ。この事故では、東京発新潟行き「とき325号」で8両が脱線した。

 レール下がコンクリート製のスラブ軌道で、脱線した車両が滑るように直進した。しかし、線路脇に雪どけ水を流すための専用溝に車両が支えられたことで、車体が大きく逸脱することを免れた。レール下が通常のバラストであれば、脱線で波打ち、列車が転覆する大惨事になったとされている。

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