公共交通政策もはや「骨抜き状態」 コストコ大渋滞問題が暴いた「コミュニティーバス」の虚実! 地域交通の精神は一体どこへ行ったのか

キーワード :
, , ,
コストコの新店舗が開店したことで、沖縄の南城市で大渋滞が発生し、コミバスが10時間も遅延した。このバスは高齢者の移動手段として導入されたが、今回の混乱で本来の目的が見失われ、地域交通の問題が浮き彫りになった。他の地域でもLRT導入に同様の課題が見られ、地域交通政策の再考が求められている。

繰り返される間違い LRTを事例に

宇都宮市のLRT(画像:写真AC)
宇都宮市のLRT(画像:写真AC)

 日本では次世代型路面電車(LRT)導入に関して同様の問題がいくつか見られる。

 例えば、宇都宮市のLRTは好調であり、これを視察しようとする他の地域の政治家や行政職員が後を絶たない。同市の成功を受けて、自分たちの地域でもLRTを導入しようという議論が始まっている。

 しかし、一度立ち止まって考えてほしい。宇都宮のLRT沿線には、

・有力企業
・大学
・ショッピングモール

などが存在し、

・通勤輸送
・通学輸送
・買い物輸送

の需要がLRT利用者を増やしているのだ。実際、2023年8月の開業直後からLRTの利用者数は好調に推移し、需要予測よりも約2か月半早い2024年7月初旬には400万人に達した。平日には約1万5000人から1万8000人、休日でも約1万人が利用している。

 また、ダイヤ改正を行い、路面電車としては珍しい快速電車の運行も始まった。このような数字を見て、

「政策をそのままコピーしようとする地域」

が増えている。しかし、都市計画や地域交通政策が実際のニーズや顧客満足度を考慮せずに進められると、結果的に地域にとって負担となることが容易に予想できる。LRTやコミバスの多くの事例は、日本の交通政策全般に共通する構造的な問題を示しているのである。

全てのコメントを見る