トラブル続出のボーイング「KC-46A」 最新給油技術が招く米国の頭痛のタネ、空自の機体採用は本当に“賢明”だったのか?

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航空自衛隊のKC-46Aが度重なる給油システム不具合に見舞われ、米国製空中給油機への信頼が揺らぐ一方、エアバスのA330MRTTは高い自動化と信頼性で市場を席巻。イタリアも再検討に動き出し、日本の選択の是非が問われている。

エアバスの後塵を拝する米国

エアバスA330MRTTのA3Rシステム(画像:エアバス)
エアバスA330MRTTのA3Rシステム(画像:エアバス)

 A330MRTTの空中給油システムは、基本的にはKC-46Aと類似のデジタル化システムで、コンピューター処理された遠隔カメラの映像によって給油オペレーションが行われる。しかし、エアバス社のシステムが特徴的なのは、高度な自動化も実現されていることだ。

 エアバス社ではこの自動空中給油システムを「A3R」と呼んでいるが、受油機側には特別な改修は必要なく、給油機側のシステムが受油機を認識し、オペレーターが操作することなく給油が行われる。この自動システムは完全に実用段階にあるが、どう見てもKC-46のシステムより進んでおり、空中給油システム技術に関して、米国は完全にエアバスの後塵(こうじん)を拝しているのだ。

 このようなありさまだから、オーストラリアに続いて、英仏両国、サウジアラビアやシンガポール、韓国などがA330MRTTを採用し、エアバスが空中給油機の国際市場でボーイングを圧倒している。航空自衛隊に先駆けてKC-767を採用していたイタリア空軍も、当初はKC-46の導入を予定していたが、今年7月に決定を覆し、A330MRTTも含めた再検討を行うとしている。

 航空自衛隊がKC-767に続いてKC-46Aを採用したのは、

・米空軍との共用性
・早期警戒機も含めた既存の767型機との共用性

も理由だろうが、これが“賢明な判断”であったのか疑問の余地は残る。

 KC-46Aの不具合解消がいつのことになるのか見通しは立たず、購入済みの機体を改修する費用などの問題もある。近年、防衛関連事業に関する不透明さが増しているが、政府には本件も含めた十分な説明が求められるだろう。

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