トラブル続出のボーイング「KC-46A」 最新給油技術が招く米国の頭痛のタネ、空自の機体採用は本当に“賢明”だったのか?

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航空自衛隊のKC-46Aが度重なる給油システム不具合に見舞われ、米国製空中給油機への信頼が揺らぐ一方、エアバスのA330MRTTは高い自動化と信頼性で市場を席巻。イタリアも再検討に動き出し、日本の選択の是非が問われている。

翻弄される給油オペレーター

KC-46AのRVS(画像:空軍研究所)
KC-46AのRVS(画像:空軍研究所)

 KC-46Aの給油オペレーターは、3Dゴーグルを装着し、デジタル処理された遠隔カメラの映像に頼って給油ブームを操作することになるが、受油機との遠近感の把握は容易ではなく、しばしば給油ブームと受油機の不時接触が発生した。

 また、遠隔カメラが昼夜の多様な照度条件に対応することも難しく、このシステムはまだ十分実用に耐えないと判定され、米空軍も厳しい運用制限を設けている。

 こうした事態に対応して、米空軍とボーイング社では2020年からシステムの再設計に乗り出しており、2024年から2025年には問題が解決されるはずであったが、どうも進捗(しんちょく)は思わしくない。これらの問題は、航空自衛隊の装備するKC-46Aでも同様なのだが、問題解決は米空軍とボーイング社に委ねられている状況である。

 その一方では、エアバス社のA330MRTT空中給油・輸送機が、世界的にセールスを伸ばしている。エアバスのA330旅客機を母体にした空中給油・輸送機だが、戦闘機などに空中給油できるフライング・ブーム式の給油システムを装備した機種としては、米国製以外では唯一の機種である。

 エアバス社がフライング・ブームを持つ空中給油機の開発に乗り出したのは、ちょうど日本が初めて空中給油機の導入を計画した時期だった。航空自衛隊による機種選定にあたっては、KC-767の対抗馬としてエアバスも名乗りを上げていたのである。

 しかし、当時のエアバス社はシステム開発を始めたばかりで、試作機も用意できない段階であったため、この提案は有力な対抗案になることなく、航空自衛隊は2001(平成13)年にKC-767を選定した。だが、KC-767を採用したのは、結果的にイタリアと日本だけになった。

 その後の2008年2月、米空軍はKC-135の後継にKC-767を採用せず、A330MRTTの採用を決定した。ところが、ボーイングからの異議申し立てによって、この機種選定はやり直しとなり、KC-767の発展型とも言えるKC-46が2011年に採用されたのである。

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