北陸新幹線「大阪延伸」で着工5条件が骨抜き? 関西政財界からも「費用負担再検討すべき」の声、議論の手法に問題はなかったのか
与党PTは次の整備新幹線も視野

与党PTも苦しい立場だ。整備新幹線のスキームは地元が新幹線をほしがることを前提に作られている。
・住民の反対で着工のめどが立たない事態
・自治体が地元負担の大幅軽減を求めるケース
は想定していない。
しかも、与党PTは現在整備中の路線に続く次の整備新幹線を視野に入れている。手を挙げている地域は山陰や四国などで、整備中の区間より人口が少なく、自治体の財政規模も小さい。着工5条件が今のままなら、投資効果や財源見通しが妨げになる。
与党PT整備委員会の西田昌司委員長は8月上旬の記者会見で
「国策だからやらねばならない」
と力を込めた。この方向で進めない限り、整備新幹線網の拡大が難しいことを示した発言と見られる。
新幹線を使うのは地元だけではない。北陸新幹線の大阪延伸区間も全国の人が利用する。受益者も地元に限らない。このため、京都府が訴えるように
「費用負担のあり方を再検討すべき時期に来た」
と考える声が関西の政財界で出てきた。一律の地元負担を受益に見合う負担に変えようというわけだ。
その一方で、2月に就任した松井孝治京都市長は7月の記者会見で
「この国家的事業に向き合うには環境への影響やコストを厳密にとらえなければならない」
と述べた。京都新聞社が21日に配信したインタビューでも慎重姿勢を強調している。就任後、大阪延伸に対する見解表明を避けてきたが、反対寄りに一歩踏み出したと受け止めた市民が少なくない。
延伸ルートに反対してきた市民団体も反発を強めている。北陸新幹線京都延伸を考える市民の会会員で、元京都大学農学部教授の石田紀郎さんは
「京都市内3案のどれを見ても、京都を壊すむちゃくちゃな計画。計画は中止するしかない」
としている。
与党PTはいったん立ち止まったうえで先に着工5条件見直しを打ち出してから、延伸区間を議論すべきでなかったか。小浜・京都ルートの整備を急ぐだけでは、混乱がさらに深まるばかりだ。