北陸新幹線「大阪延伸」で着工5条件が骨抜き? 関西政財界からも「費用負担再検討すべき」の声、議論の手法に問題はなかったのか
北陸新幹線の大阪延伸により、整備新幹線の着工5条件が形骸化する恐れが出てきた。いったいなぜか。
投資効果や財源の地元負担が焦点に

整備新幹線の着工5条件は、
・安定的な財源見通しの確保
・収支採算性
・投資効果
・営業主体となるJRの同意
・並行在来線経営分離についての沿線地方自治体の同意
となる。北陸新幹線の他区間や岩手県盛岡市以北の東北新幹線、九州新幹線などは、国交省が5条件を満たすことを確認したうえで着工してきた。
問題は「投資効果」だ。2016年試算は費用対効果を現わす費用便益比がわずかに「1」を上回る程度だったが、事業費の大幅増で1を下回りそう。1を下回る数値は
「費用に見合う投資効果がない」
ことを意味する。国交省は駅の位置が決まってから、費用便益比を算出する方針だが、与党PT内ではより大きな投資効果が出るよう計算方法の見直しを求める声が出ている。
地元負担についても見通しは厳しい。整備新幹線の事業費はJRへの貸付料を除いた残りを
・国:3分の2
・地元都道府県:3分の1
の割合で負担する。駅の建設費は都道府県負担額を算出し、その10分の1が各市町村の負担になる。
京都府は現状のままだと2028年度に約200億円の財源不足が生じる見込み。京都市は深刻な財政難で大幅なコストカットを続け、2022年度一般会計決算で22年ぶりに黒字転換したばかり。ともに苦しい財政だけに、京都府は「受益に見合う負担に」(府交通政策課)、京都市は
「実質ゼロか極小化してほしい」(市総合政策室)
と訴えている。
これを受け、与党PTには国の交付税措置率を高めるなどして地元負担を軽減しようとする動きがある。だが、着工5条件が唐突に骨抜きになる形だけに、整備新幹線が開通した別の自治体担当者は個人的見解と断りながら
「整備途中で見直すのは不公平だ」
と首をかしげた。