アンドレッティの参戦と欧米文化の差異【連載】開かれたF1社会とその敵(3)

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米国のアンドレッティ・グローバルが11チーム目として参戦しようとしているが、FOMが2026年まで認めないこの問題は、“F1ムラ”に対する米国の挑戦であり、欧米の価値観との戦いになりそうだ。

米国の財は欲しいが参戦は拒否

合衆国議会議事堂(画像:写真AC)
合衆国議会議事堂(画像:写真AC)

 マリオは意地を見せた。2024年5月、米国連邦議会を訪れ、議員たちに助けを求めた。これがロビー活動だとすれば、これも米国らしい手法で、結果として12人の議員がリバティ・メディアに「なぜ断ったのか」という書簡を送った。前述のエルメスではないが、反トラスト法調査の一環である。

 リバティ・メディアのグレッグ・マッフェイ最高経営責任者(CEO)が「全力でマイケルをF1に入れないようにする」といったという報道もあった。不思議なのは、彼も米国人でありながらアンドレッティ家と仲が悪いことだ。相性が悪いのかもしれない。

 マッフェイCEOは64歳で米国生まれだが、2026年に改定されるコンコルド協定ではNFLを手本にするようだ。レースではチーム間の競争があるものの、それ以外ではF1全体の利益を優先する戦略を描いている。基本的な考え方はNFLやNBAの幹部と同じで“米国人そのもの”だが、新規参入となると“F1ムラ”の人間に変質する。

 いずれにせよ、F1関係者には「米国の財は欲しいが、米国人の参戦は認めない」という、少々都合のよすぎる姿勢が見受けられる。議員たちもこの点に疑問を感じているのだろう。

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