「EV失速」は間違い? メディアの単なる“切り取り報道”か? 本当に失速しているのか【リレー連載】ビーフという作法(2)
2024年上半期、テスラとBYDのEV販売減少が報じられたが、グローバルでのシェアも増えている。報道の「EV失速」表現は誇張されており、季節変動を無視したデータ比較が影響。冷静なデータ分析が求められる。
批判点1「テスラのEV販売失速の真因」

テスラは2024年7月23日、2024年4~6月期決算を発表した。期間販売台数は44万3956台で前年同期比5%減と、前期から2四半期連続で前年割れとなった。米国でのEV需要減速や中国での競争激化が販売低迷を招いているとの報道が相次ぐが、決算発表で公表された地域別シェア推移は、グラフ(上)のとおりである。
グラフから、欧州と中国でのシェアは2023年第4四半期から下降線をたどり始めているが、北米は横ばいを維持していることがわかる。また、シェア変動率はわずかに過ぎず、EV販売が失速しているとはいい切れない。
次に、同じ決算資料に掲載されたふたつのグラフ(下)に注目した。
下左グラフは、テスラのEV失速が伝えられた2024年1月以降、下降傾向を示している。一方で下右グラフは、いまだ前年割れではないことがわかる。テスラのEV販売は2024年初めから前年割れが続いているが、その程度は軽微で、世界的なEV失速にはつながらない。
そもそも、テスラのEV販売が伸びていないのは、世界的なEV需要減速が主要因ではなく、販売台数の9割以上を占めるモデル3とモデルYが、
「発売開始からモデルチェンジが実施されていない」
ことが一因である。モデル3に至っては、2017年から6年以上もモデルチェンジがされておらず、これらの刷新と手頃な価格の新モデル投入が待たれている。