水素自動車の「トンネル内事故」 極めて危険説は本当か?
水素自動車は徐々に普及しつつあるが、それに関連した新たなリスクはあるのだろうか。最新の研究では、トンネル内での事故リスクシナリオが検証されている。
三つの危険シナリオ

研究チームによると、水素自動車がトンネル内で重大な事故を起こした場合、三つの潜在的な危険シナリオが想定されるという。
まず、車両火災などの熱インパクトにより圧力が上昇した場合、熱作動式過圧防止安全装置(TPRD)が作動し、タンク内の水素が制御されたジェット噴射で放出される。これにより、圧力が一定に保たれ、タンクの破裂が防止される。放出された水素に引火した場合は、水素は無色無臭であるが、地面に向かって燃え広がるため、火災は局所に留まるという。
ふたつめのシナリオは、TPRDが故障した場合で、タンクが爆発し、爆風はトンネル全体に広がる。車両から約30m以内では死亡の危険性があり、約300m以内では肺出血などの重傷を負う危険性がある。それ以上の距離でも鼓膜が破れる可能性がある。
三つめのシナリオは最も可能性の低いケースであり、水素が大量に放出されても引火しない場合である。水素は軽い元素であるため、トンネルの一部の天井付近に上昇して溜まり、そこに発火源(加熱された照明やファンの火花、静電気など)があると、水素ガス雲爆発(hydrogen cloud explosion)が起こりトンネル内で爆発する。もちろん、大量の水素が存在すれば被害は甚大であるが、その可能性は極めて低いと考えられる。また、トンネル内の換気設備により水素が希釈され、発火せずに排出される可能性もある。
いずれにせよ、このような事態が起こる可能性は低いものの、最悪のシナリオを想定しておくことは必要である。