水素自動車の「トンネル内事故」 極めて危険説は本当か?
水素自動車は徐々に普及しつつあるが、それに関連した新たなリスクはあるのだろうか。最新の研究では、トンネル内での事故リスクシナリオが検証されている。
トンネル内水素車事故のリスク
徐々に普及が進む水素自動車(水素燃料電池車)だが、それにともなう新たなリスクはあるのだろうか。最新の研究では、トンネル内での水素自動車事故の危険シナリオが検証されている。
何事も、新しいツールの導入にともない、これまで存在しなかった新たなリスクの出現に備える必要がある。今後普及が見込まれる電気自動車(EV)と同様に、水素自動車にも新たなリスクは存在するのだろうか。
オーストリア・グラーツ工科大学の研究チームが2024年4月に同大学で開催された学会「第12回 トンネルの安全性と換気に関する国際会議(12th International Conference on Tunnel Safety and Ventilation)」で発表した研究は、トンネル内での水素自動車のリスクと損害の可能性を分析してその対策を提案する内容となっている。
水素ガスは爆発しやすいというイメージもあり、トンネルなどの閉鎖空間で水素自動車が事故を起こした場合、特に危険であるという懸念が高まっているのも当然である。
現在の基準では、水素は自動車で700バール、トラックやバスで350バールの圧力でタンクに封入されている。事故でタンクが破損すれば大量の水素が一気に放出され、水素に引火すれば2000度以上の高温で燃え上がる。
もちろんタンクは極めて頑丈に作られているが、大型トラックと衝突した場合、損傷する可能性もあるため、最悪の事態も想定しておく必要がある。