EV市場に垂直統合型で挑戦、日本100店舗計画とグローバル展開【短期連載】進撃のBYD(4)
BYDは、独自の垂直統合型と電池技術を武器に、世界中で急速に市場を拡大している。日本では2025年末までに100店舗、タイでは年間生産能力15万台の工場、欧州8か国での展開を目指している。インドでは2030年までに40%の市場シェア獲得を目指す。
米国市場への挑戦

今やテスラはBYDの世界進出における最大のライバルだ。BYDは世界市場でテスラに真っ向勝負を挑んでいる。2022年、BYDの純利益はテスラを上回り、販売台数でもテスラに迫った。
ブランド力ではテスラに分があるが、BYDはコスト競争力と幅広い製品ラインアップで対抗している。BYDはAtto 3のような戦略的なエントリーモデルで、テスラがカバーしていない層の需要獲得を狙う。
また、高い環境性能をアピールすることで、持続可能なブランドイメージの構築にも取り組んでいる。BYDがテスラを追い続ける一方で、中国の新興メーカーであるニオ、シャオペン、リ・オートも成長を続けており、EVをめぐる世界的な競争は激化の一途をたどっている。
米国の関税障壁に直面しても、BYDの海外攻勢は揺るがない。2010年には米国市場への参入計画を発表したが、現時点では商用車への展開にとどまっている。
障壁の高い米国市場への参入が困難ななか、より有望な市場を求めて世界各国に販路を拡大したのは当然のことだ。今後、強力な研究開発力、優れた製品品質、堅実な市場戦略を武器に、BYDはさらに幅広いブランド影響力と市場シェアを獲得することが期待される。