EV市場に垂直統合型で挑戦、日本100店舗計画とグローバル展開【短期連載】進撃のBYD(4)
BYDは、独自の垂直統合型と電池技術を武器に、世界中で急速に市場を拡大している。日本では2025年末までに100店舗、タイでは年間生産能力15万台の工場、欧州8か国での展開を目指している。インドでは2030年までに40%の市場シェア獲得を目指す。
欧州拡大計画

BYDの国際展開は、欧州でも強化されている。2020年5月、BYDはノルウェーを欧州参入の足掛かりに選んだ。BYDヨーロッパ社長のイスブランド・ホー氏は、ノルウェーでの販売実績を見極めた上で
「長期的には、ノルウェー以外への乗用車販売の拡大を目指す」
と述べている。
その目標どおり、BYDは2022年9月、欧州8か国(スウェーデン・デンマーク・オランダ・ベルギー・ルクセンブルク・ドイツ・フランス・英国)への展開計画を発表した。
このとき、主力の「Tang」と「Han」は7万2000ユーロ、コンパクトスポーツタイプ多目的車(SUV)の「Atto3」は3万8000ユーロで投入するとされた。この価格帯からは、高級路線のモデルで富裕層の獲得を狙う一方、Atto3で大衆市場も獲得する意図がみてとれた。
アジア太平洋地域でも進出が続いている。オーストラリアとニュージーランドでは、2022年2月にAtto3を投入、7月にはニュージーランドにも拡大した。日本でも、2025年末までに100店舗体制の構築を目指している。
さらに、タイでは年産15万台の工場を稼働予定だ。この工場は、東南アジア需要への供給拠点とする。インドでも、2030年までにEVの40%シェア獲得を目標に掲げている。