EV市場いよいよ「成長期」へ テスラの充電インフラ開放が示すモノとは【連載】和田憲一郎のモビリティ千思万考(8)
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テスラは、同社独自の急速充電スタンドを他EVユーザーにも開放したと発表した。そこには、EV市場のフェーズが移り変わりつつある状況が見て取れる。
急速充電インフラ、迫られる規格準拠
現に、欧州では2021年7月に欧州委員会から公表された「温暖化ガスの大幅削減に向けた包括素案(Fit for 55 package)」の中でも、ガソリン車などの内燃機関車を2035年に販売禁止するとともに、今後の急速充電インフラ設置について「相互互換性の観点から、少なくともIECに準拠したCCS(Combined Charging System)Combo2を設置する」ことが明記されている。
この“少なくとも”というところがミソである。
CCS Combo2は欧州大手自動車メーカーが推奨する急速充電規格であり、テスラのスーパーチャージャーは、IEC規格に準拠していないことから、新たに急速充電装置を設置する場合、CCS Combo2規格の充電設備を追加する必要が出てくる。
最近のテスラ車ではCCS Combo2規格を搭載した車両も増えているようであるが、従来の独自規格の車両を持つユーザーも存在することから、当面は2方式を維持させ、どこかでCCS Combo2に1本化していくのではないだろうか。
似たような話は中国でも起こっている。急速充電規格は国家規格で、かつIEC準拠となるGB/T規格が制定されたことから、テスラのみならず、他の自動車メーカーも準拠せざるを得ない状況となった。つまり、中国のスーパーチャージャーも中国GB/Tの急速充電設備を備える必要が出てきた。
また、米国ではバイデン政権が2022年2月に、50億ドルを投じて全土にEV充電ステーションを整備すると公表した。これは、これまで設置の5倍となる50万基の充電設備を設置することを意味する。