秋葉原がもはや「オタクの聖地」ですらなくなった根本理由

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秋葉原はオタク文化の聖地として認知されつつあるが、近年、個人経営の専門店が減少し、チェーン店や大衆向けの商業施設が増加するなかで、その独自性や魅力が薄れつつあるとの指摘もある。

オタクが「一流」の街

秋葉原(画像:写真AC)
秋葉原(画像:写真AC)

 2004(平成16)年の『フジサンケイビジネスアイ』は「【in 秋葉原】パソコン、アニメ、鉄道模型、ミリタリーグッズ…常に流行を発信」と題した記事で、こう述べている。

「この町でオタクと呼ばれれば一流だ。パソコン、アニメ、鉄道模型、フィギュア、そしてミリタリー(軍事)。秋葉原には、趣味と呼ばれるもので、およそ手に入らないものは、ない。知と技を極めた世界最高峰のこだわりを求めて愛好家が集まる。そのこだわりがせめぎ合い、今日もトレンドの新たな芽がふく」
「ファッションといえば渋谷、原宿かもしれないが、秋葉原には、常に新しいモノを発信してきたという自負がある」(『フジサンケイビジネスアイ』2004年5月24日付)

「オタク = 一流」という等式が成り立つまでになった秋葉原。パソコンやアニメ、鉄道模型など、あらゆるジャンルのマニアが集い、そのこだわりがせめぎ合う。そこから次々とトレンドが生まれる。記事からは、そんな「知と技の世界最高峰」としての秋葉原像が浮かび上がってくる。

 同年9月には、オタク街・秋葉原をテーマにしたディスカウントストア「ドン・キホーテ秋葉原店」が開業。

「アキハバラ・ファン・ミュージアム」と銘打たれた5階フロアは、新作ゲームやアニメのプロモーションを行う「常設の『キャラクターショー』」をイメージして、フロア全体がオタク向けコンテンツで埋め尽くされた。(『フジサンケイビジネスアイ』2004年9月8日付)

 ここに至って、オタクの聖地としての秋葉原の地位は不動のものとなったといえるだろう。「趣都」(森川)と呼ぶにふさわしい独自の進化を遂げた街。その存在感は、日増しに高まっていったのである。

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