「足立区 = ヤバい地域」なんて、まだ本気で思ってるの? 改善データを見れば一目瞭然、あの“人気バラエティー番組”の功罪と現実
メディアが作った足立区像

足立区は長らく、犯罪と貧困のまん延する街というイメージに悩んできた。この不名誉なイメージを増殖させたのが、メディアのステレオタイプで扇情的な報道だ。
もともと足立区は、出身者であるビートたけしなどの芸能人が話のネタにすることが多かった。現在でも日本テレビ系のトークバラエティー番組
『月曜から夜ふかし』
などの番組では、区北部の竹の塚などが面白おかしく取り上げられている。酔っぱらいや奇人を取り上げるのが常のこの番組では、竹ノ塚は定番の取材場所のひとつである。最近では竹ノ塚の再開発による変化も取り上げているが、その根底には「竹ノ塚なのにオシャレになろうとしている」という冷やかし感があることは否めない。
結果、本来はごく一部であるはずの不名誉な部分が、あたかも
「足立区のすべて」
であるかのように認識させてしまっている。
こうした足立区のイメージが加速度的に定着し始めたのは、2006(平成18)年、ノンフィクション作家・佐野眞一(2022年没)のルポルタージュ『ルポ 下層社会』が発表されてからである。同年の『文藝春秋』に掲載されたこのルポは、足立区の就学援助率の高さやテレクラを利用した女性の売春などに触れ、足立区を日本の“格差社会の縮図”として描いた。
ルポは賛否両論で、さまざまな意見を巻き起こしたが、同時に足立区のステレオタイプなイメージを定着させる要因ともなった。多くのメディアが「足立区は貧困だらけ」という前提で足立区をネタとして扱うようになったのだ。
当時、筆者(昼間たかし、ルポライター)も各誌から 「足立区のテレクラで売春相手を探している女性を取材してほしい」とか、「深夜の足立区を歩いて危なそうなヤンキーを探して、こっそり写真も撮ってほしい」といったオファーが相次いでいた。当の佐野氏の自宅に取材に行ったこともあるが、
「足立区民は黒光りしている」
と繰り返していたのを覚えている。しかし、これも18年前のことだ。その後の足立区では、つくばエクスプレス沿線や西新井周辺の再開発によるベッドタウン化も進行した。区内を代表する繁華街である北千住の雰囲気も大きく変わった。