「ライドシェア」今後どうなるのか? 今後の答えは“石川県”にあるのかもしれない 地方で進化する新交通手段の現状とは

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日本のライドシェアは都市型と地方型の2種類が存在。特に地方では持続可能な交通手段として重要で、小松市の取り組みが好例だ。

ライドシェア導入の背景

小松市ライドシェアi-Chanアプリ(画像:森口将之)
小松市ライドシェアi-Chanアプリ(画像:森口将之)

 小松市を訪れた筆者は、利用前に地域振興課を訪れ、まずライドシェア導入の背景を聞いた。

「ライドシェアを考えたのは、市内の路線バスは小松駅を中心に放射線状に路線が伸びていて、バスが走っていない地域があったことに加えて、新型コロナウイルス感染症によるバスの利用者減少で市の財政負担が増え、運転士不足という状況もあったからです。持続可能な公共交通体系の展開やニューモビリティの活用を核とする小松版MaaSを構築し、そのひとつとしてライドシェアを考えました」

 ちなみに小松市が考えるニューモビリティはそれ以外に、自動運転バスもある。こちらは2020年から実証実験を行っており、3月9日から小松空港と小松駅の間で定常運行を始めている。

 さらに小松市長も名を連ねる「活力ある地方を創る首長の会」では、2023年秋にアンケートをとったところ、95%が

「現在の地域公共交通に満足していない」

という結果が出たという。これを受けて、前に書いた自家用有償旅客運送の改革が動き出したことから、会の有志でライドシェア研究会を作る一方、この研究会の事務局を務める小松市は市内のタクシー会社への相談も始めた。

 そこではライドシェアに対する反対の声もあったというが、

「ドライバー不足に加えて高齢化も話題に上がり、運転業務を日中に限りたいという要望が多く、夜間や早朝のドライバーが不足しているという話が出てきたので、夜間を交通空白とみなして導入」

という方向性が定まった。

 そのさなかに起こったのが能登半島地震だった。小松市では市内の粟津温泉で2次避難者を受け入れることとなり、マイカーを持たない避難者の足の確保もライドシェアで担うことに決めた。

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