1970年代「スーパーカーブーム」はなぜ盛り上がり、そして衰退したのか? 当時の子どもはもう50代? “夢のクルマ”の興奮をもう一度
異例のアニメ大作戦

1977(昭和52)年秋、日本のテレビアニメ界で異例の事態が発生した。四輪自動車レースをモチーフとした新番組が4本もスタートしたのである。
・『アローエンブレム グランプリの鷹』(フジテレビ系)
・『激走! ルーベンカイザー』(テレビ朝日系)
・『とびだせ! マシーン飛竜』(東京12チャンネル)
・『超スーパーカー ガッタイガー』(東京12チャンネル)
同時期に同様の企画が四つも生まれたのはもちろん偶然ではなく、“特定の背景”があったからである。1970年代後期、日本では空前のスーパーカーブームが巻き起こっており、4作品ともその波に乗ろうとしたのだ。
念のため確認すると、このときの「スーパーカーブーム」とは、街中に高価なフェラーリやランボルギーニのクルマがあふれていた現象ではない。スーパーカーが“アイドル化”したブームだった。
ブームのきっかけは『週刊少年ジャンプ』

ブームのトリガーとして考えられているのは、1975(昭和50)年から『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載された池沢さとし(現:池沢早人師)のコミック『サーキットの狼』である。
この作品は、スーパーカーや4輪モータースポーツをモチーフとしたもので、ロータス・ヨーロッパに乗る主人公の風吹裕矢が、街の“走り屋”からプロのレーサーへと成長していく物語だ。作中にはロータス・ヨーロッパ以外にもいろいろなスーパーカーが登場した。
過去にもモータースポーツを描いたコミックやアニメは存在したが、いずれも主人公の愛車は架空のものだった。これに対し、『サーキットの狼』は実在する車種をリアルに描写したことが新しかった点である。
そして、コミックの人気が急上昇するとともに、1976年頃からスーパーカー人気も急速に盛り上がっていった。当時、スーパーカーに魅了された大人たちも多かった。しかし、コミックが発端となったため、ブームの主役は子どもたち(主に男子児童)であった。それが1970年代のスーパーカーブームの大きな特徴である。