鉄道「個室復活」の波! そもそも“車内テレワーク”はアリかナシか? 対応車両の増加で今後どうなる

キーワード :
, ,
新型コロナウイルスの感染拡大懸念からテレワークが注目されるようになり、DX業界ではITをうまく活用してテレワークが基本となっている。今後はどうなっていくのだろうか。

ライフスタイルの変化

電車内のテレワークのイメージ(画像:写真AC)
電車内のテレワークのイメージ(画像:写真AC)

 新幹線や特急車両には個室が作りやすい。実際に東武特急など在来線の特急列車には個室があるものもある。しかし、観光用に作られた個室でも、平日や閑散期にひとりでテレワークができるようなプランを用意すれば、仕事で使いたいというニーズにも応えられる(もちろん、必要な運賃は上乗せされる)。

 高速バスのなかには、追加料金を払えば4列シートバスの座席をひとりで2席分並べて利用できる「ダブルシート」プランを用意しているところもある。このようなシステムは、個室でなくてもテレワークをサポートできる。

 高価な個室の回転率も上がるかもしれない。通勤電車でも、前述のデュアルモードカー(昼間はロングシート、ラッシュ時は前向きシート)の座席にパーテーションと机を追加するだけで、個人スペースができる。パーテーションを置くだけでもプライバシーが保たれ、安心できるのだ。

 通勤電車でも工夫次第でテレワークがしやすい環境になる。富山地方鉄道のレトロ電車では座席の前に机があり、このような車両が増えればテレワークがしやすくなるのではないか。短時間でも仕事をしたいビジネスマンや、リポートを書きたい学生は少なくない。

 かつて山陽新幹線にはサイレントカーやシネマカーがあった。個々に仕事をするスペースだけでなく、長時間の移動のなかでゆったりと休めるスペースを設けることは、ビジネスマンのウェルビーイングの向上にもつながるはずだ。

 社会の関心は、最低限のインフラやサービス量を確保する昭和のシビルミニマムから、多様なライフスタイルに配慮しつつ質を重視する平成の

「アメニティーミニマム」

へと変化している。インターネット上で簡単にワークスペースの予約や決済ができるようになり、ブロードバンド技術の発達でテレワーク自体も容易になった。このような社会的潮流を利用して、個人を重視できる鉄道の可能性を試してみるよい機会ではないだろうか。

全てのコメントを見る