「停車前に立たないで」 バスドライバーを精神的に苦しめる“乗客転倒事故”の危険性、解決策はあるのか【連載】ホンネだらけの公共交通論(12)

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バスの乗客転落事故は深刻な問題だ。ドライバーにとって再び大きなストレス要因となっている。これをどう解決すべきか。

床材の進化

路線バス(画像:写真AC)
路線バス(画像:写真AC)

 当時、すでに高齢者や障がい者のバス利用が増えており、バス会社も神経をとがらせていた。低床化の代償として、バス車内での転倒に注意しなければならない構図となった。もちろん、中ドア付近以外でも、車内での転倒事故は以前から、特に雨の日には発生していた。これまで、

・難燃ゴム配合の床材(難燃性に加え低発煙性を実現)
・リノリウム床材
・塩ビ床材

などがバスや鉄道車両に採用されてきた。リノリウムは1863年に英国で発明された自然由来の建材である。亜麻仁油に松ヤニ、コルク粉、木粉などを混ぜて作られ、天然染料で着色されており、サステナブルで再度注目を集めている。

 バス好きの読者には、古いバスの木製床材もおなじみだろう。上記の素材は、木製床材の後に導入されたものである。

 しかし、これらの素材はすべり抵抗値(床の表面がどれだけすべりやすいかを示す指標)に限界があることがわかっている。筆者がある企業と共同研究していた床材は石英石(ダイヤモンド、サファイア、ルビーなどに次いで硬い結晶石)を使ったもので、最適なすべり抵抗値、つまり

「すべりにくく、つまずきにくい」

を実現した。石材は耐久性、耐摩耗性にも優れており、長期的な観点からも環境に優しい素材である。技術は日進月歩である。ドライバーが乗客の転倒の心配をしなくて済むように、車両自体の安全性を高める技術の導入を支援し、ストレスの原因を減らすことが重要なのだ。

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