揺れるJR東日本・西日本、支社再編の行方を「運輸収入」「人口推計」から読み解く

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JR東日本、JR西日本各社における支社再編を中心とした合理化案が1月に報道された。新型コロナウイルスの感染拡大により、鉄道利用者の減少が懸念されている。両社の行方とは。

コロナ禍で厳しくなった経営環境

JR東日本のウェブサイト(画像:JR東日本)
JR東日本のウェブサイト(画像:JR東日本)

 支社再編の背景には、新型コロナウイルス感染拡大による旅客需要の低迷や人口減少がある。まず、鉄道運輸収入から旅客需要の低迷について考察する。

 以下は、JR東日本の鉄道運輸収入推移だ。カッコ内は、2019年度収入額を100%とした場合の割合。関東圏は東京、横浜、八王子、大宮、高崎、水戸、千葉支社管内を、その他は仙台、盛岡、秋田、新潟、長野支社管内を示している。

●2019年度
・新幹線:5655億円
・在来線(関東圏):1兆1601億円
・在来線(その他):670億円
・合計:1兆7928億円

●2020年度
・新幹線:1896億円(34%)
・在来線(関東圏):7265億円(63%)
・在来線(その他):380億円(57%)
・合計:9543億円(53%)

●2021年度(計画)
・新幹線:2942億円(52%)
・在来線(関東圏):8245億円(71%)
・在来線(その他):461億円(69%)
・合計:1兆1650億円(65%)

 JR東日本の決算データから、新型コロナウイルス感染拡大の影響が比較的少なかった2019年度と2020年度を比較してみる。2019年度を100とした場合、新幹線34%、在来線(関東圏)63%、在来線(その他)57%と大幅に落ち込んでいることが見て取れる。

 2021年度(本年度)の見込みはどうか。2019年度を100とした場合、新幹線52%、在来線(関東圏)71%、在来線(その他)69%と、2020年度よりやや回復すると予想されるものの、鉄道運輸収入全体では2019年度収入額の65%程度にとどまるようである。

JR西日本はどうか

 同様に、JR西日本の鉄道運輸収入推移だ。近畿圏は近畿統括本部管内(京都、大阪、神戸支社管内)を、その他は金沢、和歌山、福知山、岡山、米子、広島支社管内を示している。

●2019年度
・新幹線:4412億円
・在来線(近畿圏):3075億円
・在来線(その他):1081億円
・合計:8568億円

●2020年度
・新幹線:1655億円(38%)
・在来線(近畿圏):1941億円(63%)
・在来線(その他):593億円(55%)
・合計:4190億円(49%)

●2021年度(計画)
・新幹線:2145~2375億円(54%)
・在来線(近畿圏):2175~2240億円(73%)
・在来線(その他):670~705億円(65%)
・合計:4990~5320億円(62%)

 新型コロナウイルス感染拡大の影響が比較的少なかった2019年度と2020年度を比較してみる。2019年度を100とした場合、新幹線38%、在来線(近畿圏)63%、在来線(その他)55%と、JR東日本と同様、半分程度かそれ以上に落ち込んでいることがわかる。

 それでは、2021年度の見込みはどうか。JR西日本は、本年度の業績予想をある程度幅をもたせて公表しており、最大値を用いて比較した。2019年度を100とした場合、新幹線54%、在来線(近畿圏)73%、在来線(その他)65%と、2020年度より回復すると予想されるものの、こちらもJR東日本と同様に鉄道運輸収入全体では62%程度にとどまる見込みである。

 JR東日本とJR西日本を比較すると、運輸収入の規模こそ大きく異なるものの、対2019年度との比較において、新幹線、在来線(首都圏/近畿圏)、在来線(その他)いずれにおいても減少率に大きな差は見られない。また、2021年度の鉄道運輸収入の見込みが、全体で62~65%程度の回復にとどまるという見通しの厳しさは全く同じである。

 2019年度の鉄道業界は日本人のビジネス需要や旅行需要に加え、インバウンド効果の恩恵を受けていた。近い将来、新型コロナウイルス感染拡大が落ち着いたとしても、外国人旅行者が再び日本に戻って来ない限り、2019年度の実績に近づけることは難しいだろう。

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