バブル期に流行った「ドライブインシアター」覚えてる? クルマの中で映画を観た“甘酸っぱい思い出”をもう一度
日本初のドライブインシアターは、1962年に現在の東京都立川市にオープンした。米空軍横田基地出身の男性が私財を投じた。
誕生は1933年

日本でドライブインシアターを“懐かしい青春の思い出”として記憶しているのは、2024年の時点で主に40代後半から60代前半の人たちだろう。
ドライブインシアターとは、自動車に乗ったまま映画を鑑賞できる、モビリティとエンターテインメントが融合した娯楽施設で、大画面の屋外スクリーンと自動車が駐車できるスペースにより構成されたものだ。
1933年、ニュージャージー州で誕生したドライブインシアターは、1950年代の米国で自動車文化の発展とともに普及した。当初は専用スピーカーから音声を聴くシステムだったが、後にFMラジオ信号を通じて車内オーディオで聴く方式に進化している。
一般の映画館に比べ、プライバシーがより確保されるため、
・恋人同士のデート
・家族のレジャー
に適していた。最盛期である1950年代には全米で4000施設以上もあったとされる。なかには、同じ敷地内に他の娯楽施設を併設したり、映画上映だけではなく音楽ライブなども行ったりする施設も生まれ、20世紀の米国文化の一部となっていた。
古きよき米国文化の象徴

ドライブインシアターが最先端のスポットだった時代を舞台にしたハリウッド映画に、1978(昭和53)年に公開され日本でもヒットしたミュージカル作品『グリース』がある。
1950年代の米国の高校生と若者文化を鮮やかに描いたこの映画には、真っ赤なコンバーティブルに乗る主人公(ジョン・トラボルタ)が、ヒロイン(オリビア・ニュートン-ジョン)とドライブインシアターでデートを楽しむ印象的なシーンが含まれている。
公開当時に『グリース』を見た人のなかには、ドライブインシアターに象徴される古きよき時代の米国の青春に憧れを抱いた人も多いのではないだろうか。