バブル期に流行った「ドライブインシアター」覚えてる? クルマの中で映画を観た“甘酸っぱい思い出”をもう一度
絶滅しかけたドライブインシアターが復活

「ドライブインシアター大磯」の閉鎖で、完全に消滅したと思えた日本のドライブインシアター文化だが、やがて復活の兆しが見えてきた。
野外イベントや地域の盛り上げイベントが各地で盛り上がる背景とリンクとして、ドライブインシアター形式の映画上映会が散発的に行われるようになった。2014年10月には浜松で期間限定のドライブインシアター形式の野外上映会が開催され、これを企画した「Do it Theater」というチームが継続的に同様のイベントを行うようになった。
また、熊本県で生まれた「THEATER0」というグループも、2018年にドライブインシアターを復活させ、以後も出張形式の上映イベントを続けている。
さらには、2020年代に誰も想定していなかったきっかけでドライブインシアターに再び光があたった。新型コロナウイルス感染症によるパンデミック(世界的大流行)が世界的に深刻化するなかで、ソーシャルディスタンスを保ちつつ映画鑑賞を楽しめる手段として価値が見直されたのだ。
日本でも2020年夏ごろから全国各地でドライブインシアター形式の上映イベントが続々と開催され、「イオンシネマ」のような大手シネコンが行った例もあった。こうして、往時を知らない年齢層も、シネコンでは味わえない映画体験としてのドライブインシアターを知ることができたのだ。
その動きは、あくまでコロナ禍の特殊なシチュエーションに限定された要素が強く、常設ドライブインシアターが続々再オープンするような流れは生まれなかった。しかし、ソーシャルディスタンスの必要性が薄れてからも、今の時代にドライブインシアターの可能性を感じさせるひとつのきっかけになったのは事実であり、以後も夏季を中心にドライブインシアターイベントは各地で開催されている。
今後も、懐かしむ対象ではなく、映画上映とキャンプや音楽ライブなどを融合させたイベントのような新たなかたちで、ドライブインシアターが文化的地位を確立していくことが考えられる。