京葉線「通勤快速廃止」 通勤時間20分増どころか、実はその「1.2倍」だった!
JRの対応「ずさん」浮き彫り
先日、筆者(北村幸太郎、鉄道ジャーナリスト)が当媒体に「京葉線「ダイヤ改悪」はなぜ防げなかったのか? JR・行政の間に横たわる“構造的問題”を考える」(2024年1月28日配信)という記事を寄稿したところ、大きな反響があった。
JRの対応の
「ずさんさ」
はこの記事で明らかになったと考えている。
このほか、東洋経済オンラインにも「通勤快速廃止で炎上、京葉線ダイヤ「3つの疑問」 快速の各駅停車化で「混雑の偏り」は解消する?」(2024年2月3日配信)を書き、問題点をすべて洗い出したつもりだったが、それは甘かった。
なんと、京葉線通勤快速の廃止で東京~蘇我(千葉県千葉市)間の所要時間が20分増と、各社が報道したが、これが前回のダイヤ改正と合わせ
「実質24分増(1.2倍)」
であることが発覚したのだ。
速さ失う通勤快速
筆者は朝の蘇我駅から、騒動の渦中にある京葉線通勤快速に乗ってみた。2016年に千葉市内の実家から通勤していた時期があったが、蘇我から通勤快速に乗ったのは一度だけで、そのときは速かった。
当時は速度制限がない限りほぼ時速90km台を維持する走りで、朝は蘇我~東京39分、夕方も東京~蘇我33分だった。ところが2024年、改めて乗ってみると、明らかに速度が落ちていることにすぐに気がついた。
衛星利用測位システム(GPS)アプリで計測したところ、千葉市内の大部分を時速70km台で走り、海浜幕張駅は60kmほどで通過。南船橋も40kmで通過するという鈍足ぶりだ。なお、南船橋を8時13分頃に通過する列車に乗っていたのだが、前後の列車との間隔は4分ずつ開いており、南船橋までは詰まるようなダイヤではない。にもかかわらず遅かったのだ。
反対に夕方の通勤快速も、海浜幕張で各駅停車を追い抜いた後は70kmか60km台で走っていた。今の時刻表で調べてみると、朝は蘇我~東京39分が42分に、夕方の東京~蘇我33分が37分へと、4分遅くなっていたのだ。
ちなみに、朝は葛西臨海公園(東京都江戸川区)で各駅停車の追い抜きが行われず、舞浜からゆっくり走っているが、これは10年以上前からで、葛西臨海公園で追い抜きをするかしないかで時間が延びるわけではない。また、2022年の改正では各駅停車が2本減っているが、これはむしろ速くしやすい条件だったことを付け加えておきたい。