ワイパーの基本構造が発明以来「100年間」変わらない理由
ワイパーの基本操作は、約100年前に米国人によって発明された。しかし、さまざまな自動車部品が進化を続ける一方で、このスタイルはこの100年間変わっていない。なぜだろうか。
雨天対応と安全性への懸念
ワイパーブレードを使わないメリットは意外に大きい。ドライバーの視界のなかで大きなワイパーが動くことは、少なからず運転に悪影響を及ぼす。ワイパーブレードがないのは、消耗品であるゴム部品を定期的に交換する必要がないということだ。
カー用品最大手のオートバックスのウェブサイトでは、ワイパーゴムは半年に1回、ゴムをガラスに押し付けるブレードは1年に1回の交換を推奨している。ワイパーがなくなるだけで、これらの消耗部品の交換を気にする必要がなくなるのだ。
ただ、新技術には懸念や不安もある。そもそも、ガラスの汚れを焼き切るシステムは雨天でも使えるのだろうか。汚れの量に応じてレーザーの出力を調整するようだが、ガラスを挟んで車内に人がいるわけで、安全性はどうなのか。実用化へのハードルは低くなさそうだ。実際、テスラが開発中のサイバートラックでは、レーザーワイパーではなく「メガワイパー」と呼ばれる1本ワイパーを採用している。
しかし、基本構造がずっと変わらないワイパーへの“挑戦”は大いに期待される。テスラが開発しようとしているような非接触型ワイパーが実現すれば、それは素晴らしい発明となるだろう。地味な存在であるワイパーだが、100年待ち望んだ革命はすぐそこまで来ているのかもしれない。