「手積み・手降ろし」を渇望する運送ドライバーが最近増えているワケ あれほど嫌われていたのになぜなのか

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このまま運送ビジネスの純化が進み、「手積み・手降ろし」のない時代が到来した場合、運送会社はどのように他社との差別化を図ればいいのだろうか。逆説的だが、「手積み・手降ろし」は運送会社の武器になるかもしれない。

新「標準的な運賃」における手荷役料金

「標準的な運賃」(画像:国土交通省)
「標準的な運賃」(画像:国土交通省)

 2024年1月11日、ようやく国土交通省から「標準的な運賃」の素案が発表された。「ようやく」と書いたのは、2023年10月に岸田内閣が発表した「物流革新緊急パッケージ」では、2023年内に発表されることになっていたからだ。

 今回発表された「標準的な運賃」は、もちろん距離・時間・車種ごとに設定された運賃単価を引き上げるものである。加えて特徴的なのは、速達割増、積込料・取扱料、利用運送手数料が設定されたことだ。

 積込料・取扱料については、従来の「標準的な運賃」では、「積込み、取卸しその他附帯業務を行った場合には、運賃とは別に料金として収受」とだけ記されていた。しかし、今回の「標準的な運賃」では、具体的な料金が図のように設定された。

 2時間を超えた場合の割増料金は、岸田内閣が推進する「物流革新」の一環として策定された「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン」(2023年6月公表)の「荷待ち・荷役作業等時間2時間以内ルール」に基づくものだろう。

 運送会社(ドライバー)に手荷役を強要し、かつ作業時間を2時間以内に収められない荷主は、貨物自動車運送事業法の「働きかけ」「要請」「勧告・公表」の対象となるばかりでなく、割増賃金も支払わなければならない。このあたりの文脈は運送会社にとっては歓迎すべきことだろう。

 一方、フォークリフトやユニック(クレーン)などのマテハン機器をドライバーが使用する自主荷役は、手荷役に比べて割高なのが悩ましい。フォークリフトやユニックの使用には資格が必要であり、「資格作業だから作業単価が高い」という理屈は成り立つが、ドライバーの肉体的・精神的負担が大きいのは手荷役だろう。

 さらに、単価の問題もある。大型車の場合、30分以上1時間以内の手荷役の場合、「標準的な運賃」では4520円となる。筆者(坂田良平、物流ジャーナリスト)の個人的な感覚としては、「もっと高くてもいい」と思うが、これをちまたの運送会社や荷主がどう受け止めるかだろう。

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