2025年の決断――破談に至ったホンダと日産の意思決定スピード【短期連載】日産はホンダと再び歩みを進めるべきか(3)

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意思決定の遅さと過剰な役員体制が影響し、日産とホンダの「世紀の握手」は破談となった。日産は20年で執行役員52人に膨張し、約3000億円の赤字。ホンダは売上20.4兆円、営業利益1.38兆円の盤石な財務基盤を背景に、子会社化で統合リスクを回避した。

「世紀の握手」破談の3つのポイント

ホンダ・日産のロゴマーク(画像:AFP=時事)
ホンダ・日産のロゴマーク(画像:AFP=時事)

 日産とホンダの経営統合が破談となってから、丸1年が経過した。両社はそれぞれの道を進んできたが、自動車を取り巻く環境は変わらず厳しいままである。1年前、年間販売800万台を目標に掲げた提携は市場に大きな期待をもたらした一方で、OSの差異や現場の矜持が統合を阻む現実も露呈した。2026年を迎え、競争の軸は「量」から「知能」へと移りつつあるなかで、両社に残された選択は組織の合流か、機能別の共闘か。ブランドの誇りを保ちつつ、開発費を大胆に圧縮する新たな道は開けるのか。統合発表から破談に至る過程を振り返り、生存の壁を探る。

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 連載3回目となる今回は、経営の視点から「世紀の握手」破談の背景を読み解く。ホンダのプレスリリースからは、破談に関して三つのポイントが見えてくる。

・意思決定、経営施策実行のスピードを優先するため経営統合の実行を見送る
・共同持株会社体制から、株式交換によりホンダを親会社、日産を子会社とする体制へ変更を提案した
・戦略的パートナーシップの枠組みにおいて連携しながら、引き続き新たな価値の創造を目指す

 意思決定や経営施策のスピードの優先は、日産に突きつけられた課題である。2025年2月13日の記者会見で、ホンダの三部社長もこの点を強調している。ホンダを親会社、日産を子会社とする提案は、ホンダ側の事情に基づくものである。意思決定のスピードの観点では、共同持株会社体制で議論するよりも、日産を子会社化して従わせるほうが理にかなっている。

 しかし、当時の日産にとっては望ましい提案ではなく、態度を硬化させたのも無理はない。三つ目の部分的な連携は、現在も続いている。

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