三菱自動車「中国撤退」という衝撃 モビリティ企業を取り巻く地政学リスクと付きつけられる新市場戦略

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2023年、経済や貿易の世界では不穏な空気が漂い、日本のモビリティ企業の間でも中国ビジネスの見直しが広がった。

モビリティ企業の新市場戦略

赤色部分が一般的なグローバルサウス(画像:キングj123)
赤色部分が一般的なグローバルサウス(画像:キングj123)

 筆者(和田大樹、外交・安全保障研究者)は長年、海外に進出する日本企業向けに地政学リスクのコンサルティング業務を行っているが、インドやバングラデシュ、そしてアフリカ各国のテロ情勢や一般犯罪情勢についての問い合わせが2023年になって増えている。

 今後、国際社会ではグローバルサウスの存在力が高まることから、日本のモビリティ企業にとっても新たな市場を開拓できる可能性があり、現地に工場や店舗を建設したり、現地の企業と合弁を計画したり、駐在員を配置したりとさまざまな計画をするなかで、現地の治安リスクを気にする企業が増えている。

 依然として多くの日本企業が中国に進出し、今後中国から撤退する動きが短期間のうちに生じるわけではない。しかし、2023年のモビリティ企業を取り巻く地政学リスクをおさらいすると、脱中国とグローバルサウスへの接近というものが顕著に見えた。おそらく、この動きは2024年も続くことだろう。

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