「JR東海とは話し合わない」 京都府市がリニア“大阪延伸”ルート巡り、ここまで強気に出られるワケ
JR東海はリニア中央新幹線の大阪延伸に向け、奈良県と三重県で奈良ルートのボーリング調査を開始した。それでも京都府市はルート変更を求める活動を続けるという。
これまでの誘致活動は独り相撲化

府市はリニア中央新幹線の東京~名古屋間や北陸新幹線大阪延伸で実施されたルート比較が行われていないとして比較検討を求めているが、JR東海はこれに反発、歴代社長が記者会見で府市の動きに対し
「ああそうですか、それだけ」
「今さら『えっ』という感じ」
と述べるなど聞く耳を持たない姿勢を貫いてきた。
JR東海が中間駅建設費の全額負担を打ち出したあとで京都ルートの提言が出てきたことに対しては、奈良県や三重県の経済界から「後出しじゃんけん」との批判が出た。山田啓二京都府知事(当時)が
「リニアのルートは日本全体の発展を考えて決めてほしい」
と発言すれば、「上から目線」と反発する声が上がっている。
国交省も2013(平成25)年、太田昭宏国土交通相(当時)が
「整備計画通りに手続きを進めることが現時点で適当だ」
との見解を示した。府市の誘致活動はこれまでのところ、“独り相撲”に終わっている。
京都府市は2020年、要望から「京都駅」の文字を外し、京都府を通過するルートに京都ルートの意味を変えた。京都府交通政策課は
「JR東海と話し合う気はもうないが、国交省には引き続き要望し、機運醸成の活動もやめない」
と語気を強めた。
京都府市が強気な背景には、1964(昭和39)年に開通した東海道新幹線の成功体験がある。当初、「ひかり」は京都駅に停車しない方向だったが、経済界が「京都駅に停車しても東京~新大阪間の3時間を維持できる」と主張、旧国鉄に掛け合って停車を実現させている。
しかし、リニア誘致活動は次第に規模が小さくなり、府議会や京都市議会で議論される回数が減ってきた。このまま活動を続け、府市に成算はあるのだろうか。