「JR東海とは話し合わない」 京都府市がリニア“大阪延伸”ルート巡り、ここまで強気に出られるワケ

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JR東海はリニア中央新幹線の大阪延伸に向け、奈良県と三重県で奈良ルートのボーリング調査を開始した。それでも京都府市はルート変更を求める活動を続けるという。

府市は京都ルートの経済効果を強調

明日の京都の高速鉄道検討委員会が議論した3ルート(画像:明日の京都の高速鉄道検討委員会)
明日の京都の高速鉄道検討委員会が議論した3ルート(画像:明日の京都の高速鉄道検討委員会)

 リニア中央新幹線は東京都から大阪市まで438kmを結ぶ。1973(昭和48)年に新幹線の基本計画路線に入り、国土交通省の交通政策審議会での検討を経て2011(平成23)年、整備計画が決定した。営業および建設主体にはJR東海が指名されている。

 走行方式は超電導磁気浮上方式とされ、最高速度が時速505kmと従来の新幹線を大きく上回る。起点は東京都港区の品川駅、終点は新大阪駅。経由地は

・山梨県甲府市付近
・赤石山脈中南部
・名古屋市付近
・奈良市付近

と明記された。東京~名古屋間を最速40分、東京~大阪間を67分で結ぶ。

 このうち、東京~名古屋間は2014年に起工式があり、2027年の開業を目指していた。名古屋~大阪間は政府の財政投融資を活用して2045年の開業予定を2037年に前倒しする計画。だが、静岡県の川勝平太知事が静岡県内での着工に反対し、東京~名古屋間の目標達成が難しくなったほか、名古屋~大阪間も先行きに不透明感が残る。

 府市は基本計画路線であった時代の1990年、推進協議会を設立して京都ルートへの変更を求め始めた。2010年に計画が交通政策審議会に諮問されたのを受け、経済界とともに明日の京都の高速鉄道検討委員会を設置している。

 委員会は名古屋~大阪間のルートについて、

・京都市下京区の京都駅を通る「京都ルート」
・奈良市の奈良駅を通る「奈良ルート」
・名古屋駅と新大阪駅を直線で結ぶルート

の長所、欠点を比較し、2012年に

「京都ルートが最大の経済効果をもたらす」

などとして見直しを提言した。

 これに基づき、推進協議会は国交省への要望とともに、府内や首都圏で広報啓発をしてきた。2023年も2月の京都マラソンで京都市左京区のみやこめっせ、10月の京都学生祭典では左京区の岡崎プロムナードでPRグッズを配布している。

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