自動車のミラーが常に「死角」を生み出し続ける理由

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クルマの運転中、ミラー越しに後方を確認するのは安全運転の基本だ。そもそもサイドミラーやルームミラーは、視界を広げ、後方のクルマや歩行者を確認するために欠かせない装置だ。

技術の進化と新たな課題

後方車両が接近した場合に、マルチインフォメーションディスプレー表示や、ブザーにて知らせてくれる「ブラインドスポットモニター」(画像:トヨタ自動車)
後方車両が接近した場合に、マルチインフォメーションディスプレー表示や、ブザーにて知らせてくれる「ブラインドスポットモニター」(画像:トヨタ自動車)

 死角をできるだけ減らすために、近年登場した最新の車両にはさまざまなセンサーやカメラが搭載されている。しかし、それでもなお、別の問題や課題は残されている。

 まず、最新のクルマには死角検出機能(ブラインドスポットモニター)の搭載が増えている。これは、周囲の状況をモニターし、死角にほかの車両がいる可能性をドライバーに警告するセンサーである。この機能は、一般道だけでなく高速道での車線変更時にも役立ちやすい。ただし、すべての車種に搭載できるほど普及していないのが難点だ。

 もうひとつはミラーレス車だ。これは従来のサイドミラーに代わり、デジタルカメラやディスプレーを使って後方の映像を映し出すものだ。空気抵抗を減らし、車両設計の自由度を高めることに貢献する。

 しかし、一部の高級車や先進的なモデルにしか導入されておらず、比較的高価で、インフラ整備(規制など)、価格、ユーザーへの親しみやすさなどの障害により、普及はまだ遅れている。

 これらのアプローチは死角の問題に対処する試みではあるが、それぞれに隠れた課題や限界がある。今後の技術開発や法改正が注目されるなか、より安全で快適な運転環境の実現が望まれる。

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