EVの「自動車保険料」が英国で70%も上昇したワケ 一部の保険会社は取り扱いを中止、急速なグリーン化が招いた大きな歪みとは

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英国の自動車保険料が急上昇している。保険の比較サイトによれば、2023年第3四半期の上昇率は58%にも及ぶという。いったいなぜか。

発生した新たな問題

ロンドンのEV給電スポット(画像:写真AC)
ロンドンのEV給電スポット(画像:写真AC)

 2035年にガソリン車とディーゼル車の新車販売が禁止される予定の英国では、現在、電気自動車(EV)が新車販売の約20%を占めている。一方、日本はようやく4%といった段階だ。“EV先進国”に起こるさまざまな問題は、日本にも起き得るものかもしれない。日本は遅れているぶん、そこから学び、場合によっては備えられる。

 いま英国で問題になっているのは、自動車保険料が急上昇していることだ。保険の比較サイト「コンフューズド・ドット・コム」によれば、2023年第3四半期は前年比で平均338ポンド(約6万1516円)も高騰し、

「924ポンド(約16万8168円)」

となった(2023年10月13日付)。これは上昇率にすると58%になるのだが、2006年からモニタリングしているなかで1番大きいものだった。特に春以降の変動が激しくなっている。

 その理由としては、新規顧客が割引を受けられると既存顧客との公平性に欠けるとして、

「新規割引が法律で禁止されるようになった」

ことが大きいとされている。

英国の保険のしくみ

英国の道路(画像:写真AC)
英国の道路(画像:写真AC)

 自動車保険はドイツに続いて欧州2位の市場である。英国には195超の自動車保険会社があるが、上位10社がシェアの70%を占めている。

 保険料金はさまざまな要素から決められるが、その一部は、

・住む場所(都会ほど盗難や事故のリスク高)
・年齢(若いほど経験が不足しているのでリスク高)
・車の車種(価格が高いものほどリスク高)
・車のセキュリティーレベル(欧米ではよくあるが、私有地でなく道路に駐車はリスク高)
・仕事内容(車に乗る機会が高いのはリスク高)
・運転歴(過去5年の保険請求歴、事故歴があるとリスク高)
・年間走行距離(多いほどリスク高)

となっている。その車に乗るドライバーがほかにいれば、その人々の要素も影響する。

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