京都市は「観光公害」より、昔からの「渋滞問題」を論ずる方が先決だ

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京都では観光客の急増が大きな問題になっている。混雑による交通渋滞も深刻だ。行政の対応が追いついていないという意見も根強い。実際はどうなのか。

門川市長の環境施策

渋滞のイメージ(画像:写真AC)
渋滞のイメージ(画像:写真AC)

 大きな転機となったのは、1997(平成9)年に京都で開催された第3回気候変動枠組条約締結国会議(京都会議)である。京都会議で締結された「京都議定書」において、日本は2008年から2012年の間に温室効果ガスの排出量を1990年比で6%削減するという目標を掲げた。

 それ以来、自動車の流入を減らすことが社会の課題であることが広く認識されるようになった。2008年、市長に就任した門川大作は流入を減らす対策を実施するための環境を作り出した。

 門川は市の組織のなかで環境政策局を重視し、組織改編で「交通政策監」を設置した。交通政策は都市計画局内の「歩くまち京都推進室」が担うことになった。

 同年には、路上駐車の緩和より、駐車場の増加は市中心部に自動車を呼び込むとして、増加を抑制する抜本的な方針転換も行われている。そして、2010年には「歩くまち・京都」憲章が策定され、方向性は明確にされた。

 地球温暖化問題が人類の重要課題として認識されるなか、京都市は自動車依存から脱却し、持続可能なまちづくりを目指すことができるようになった。

 この取り組みで特に効果的だったのは、市街地周辺部に駐車場を設置し、パークアンドライド方式で公共交通機関を利用して観光地に向かう施策である。また、四条通の歩道拡幅も意外に効果的だった。この拡幅は歩行者の利便性を高めた反面、四条通の渋滞を悪化させたといわれたが、これが引き金となり、SNSで京都の渋滞の程度が広く知られるようになった。

 京都市もSNSを活用し、繁忙期を中心に渋滞の実態を積極的に発信することで、市民や観光客に京都の渋滞の深刻さを広く伝えている。

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