京都市は「観光公害」より、昔からの「渋滞問題」を論ずる方が先決だ
京都では観光客の急増が大きな問題になっている。混雑による交通渋滞も深刻だ。行政の対応が追いついていないという意見も根強い。実際はどうなのか。
道路構造と渋滞

「マイカー観光拒否宣言」は1回限りだったが、京都市は渋滞解消のために多様な施策を実施してきた。例えば、1991(平成3)年には駐車場条例が改正され、大規模建築物における駐車場設置の義務基準が拡大された。しかし、この施策も渋滞緩和に大きな効果はなかった。
施策が効果的でなかった理由はふたつある。第一に、京都は生活都市でもあり、住民の自動車や荷運びトラックの利用が多いためだ。第二に、観光都市という性格上、そもそも観光産業に影響を与えるような強い規制を行うことが難しかったためである。
また、京都市の道路構造自体が渋滞しやすいという根本的な問題もあった。日本の多くの大都市が戦後の復興計画で道路網を整備・拡張したのに対し、戦災を免れた京都市は平安京時代からの碁盤の目状の道路網を残している。
そんな同市の道路拡幅は路面電車が走る一部の通りに限られ、ほとんどの道路は片側2車線が中心で、1車線は路上駐車で占められているケースが多い。例外は、戦時中に建物疎開が行われた東西五条通と堀川通程度である。このように、自動車の大量流入を想定していない都市構造のため、渋滞が生じやすいのである。
したがって、渋滞を防ぐ最善の方法は、自動車の流入を抑制することであることは明らかだった。京都の課題は、「自動車全面禁止」という極端な方法ではなく、いかに実現可能な方法で実施するかということだった。