空港の「地上業務」を強化すれば、インバウンドはさらに増えるのだろうか?
人材不足が加速

国内空港のグランドハンドリングに関わる人材の不足が加速している。グランドハンドリングとは、航空機が空港に到着してから出発するまでの間に行われる地上支援業務の総称で、機体誘導、客室整備、旅客案内、手荷物などの積み込み、燃料補給などが該当する。
国土交通省航空局は、「人材不足」「事業者間の連携欠如」というグランドハンドリングに係るふたつの大きな課題について、対応策をとりまとめたアクションプランを策定。
1.人材確保、教育の強化(例:外国人材の受け入れ、離職率低下への対策)
2.資機材の共通化等による生産性の向上(例:資機材共有化スキームの構築に向けた検討)
3.グランドハンドリング業界の構造改善(例:空港管理者等とグランドハンドリング各社との連携強化)
の3点を柱に据えた。
持続的な発展に向けた空港業務のあり方検討会の委員として2022年11月から活動してきたグランドハンドリング連絡会は2023年8月、新たな航空業界団体となる「空港グランドハンドリング協会」を設立した。
会員数は50社、約3万2000人で、常勤事務局の設置と月1回の理事会等会議を行い、業界の課題にタイムリーに対応している。
人材不足問題と並行して、大きな問題としてカスタマーハラスメントの対策を掲げ、各社が連携して問題解決に当たる仕組みづくりも進める。カスタマーハラスメントに関しては、どこまでが顧客のハラスメントか判断するのが難しい面もあるが、同協会では
「グランドスタッフを守るため、勉強j会などを開催して認識を共有し、レギュレーションを正していきたい」
との意向を示している。
雇用機会の増大

政府は観光需要を取り込むことにより、地域活性化、雇用機会の増大を図ろうと、2030年の訪日外国人6000万人の受け入れを目標に掲げている。空港の機能を維持していく上でグランドハンドリングに関わる人材は不可欠だが、実際はコロナ前からその人材不足は顕在化してきた。
そんななか、コロナの影響による航空需要の低迷期には離職が相次いだ。回復段階の今では、グランドハンドリング人材の安定的な確保の重要性がいっそう高まっている。
ANAグループのグランドハンドリング部門は、2022年度から「戦略型人財育成プログラム」をスタートした。各空港の次世代を担う人材が一堂に会し、約2年間をかけて、
・業界構造
・グランドハンドリングの将来戦略
・イノベーションの取り組み
などを学ぶことで、空港オペレーションの業務構造改革を推進することができるスタッフの育成を目指している。
航空連合がアンケート実施

航空関連産業の57組合、約4万5000人で構成する航空連合は、空港職員340人を対象にしたアンケート調査を実施。
「どうしてこの仕事を選んだの?」
「この仕事に就いて良かったと思う瞬間は?」
など、対象者からリアルな声を聞き、
「この飛行機を自分が飛ばしているんだという誇りが持てる仕事」
「時間通りにお客様をご案内し、最後に飛行機の扉を閉めるために走る瞬間は達成感がある」
といった声が上がった。航空連合の内藤晃会長は
「航空業界は、世界で起きる出来事の影響を受けやすい業界だが、日々起こる少しのピンチを乗り越える積み重ねが、仕事と人生をより充実したものにしてくれるはず。多くの人に航空関連産業で働きたいと思ってもらえればうれしい」
と話している。