新千歳空港「ビジネスジェット専用施設」12月開設、どう便利になる? 海外富裕層に絶好のアピールチャンスだ
海外富裕層の呼び込み強化
国際的にビジネスジェットによる移動需要が高まるなか、道内7空港の運営等を行う北海道エアポート(千歳市)は12月8日、新千歳空港にビジネスジェット専用施設をオープンさせる。
海外からの富裕層の呼び込み強化が主な目的で、専用施設の開設によって利用客の利便性や満足度の向上を図る。
北海道エアポートによると、新千歳空港のビジネスジェットの発着数は、新型コロナ感染拡大前の2019年は
「約400便」
で、コロナ禍で発着数は大幅に減ったものの、2023年に入ってからは回復傾向にあるという。
スムーズな出入国手続きを提供
専用施設は、
・利用者専用の保安検査場
・CIQ(税関・出入国管理・検疫所)
・ラウンジスペース
を完備。スムーズな出入国手続きと快適な時間を提供する。
建物は鉄筋コンクリート造り一部鉄骨造り(延べ床面積約550平方メートル)。施設運営は、世界中のVIPや高付加価値旅行者向けにフルオーダーメードの空の旅を提供しているビジネスジェット運航支援会社のユニバーサル・アビエーション(UVA社)と協業して行う。
UVA社は、日本国内5か所を含む世界40か国以上で60か所以上のグランドハンドリング施設に関わる運営実績があり、今回の新千歳空港ビジネスジェット専用施設の運営にあたり「品質、安全性、コンプライアンス、顧客満足度を重視して施設運営を行っていきたい」としている。
ビジネスジェット専用施設は現在、
・羽田空港
・成田空港
・関西国際空港
・中部国際空港
・名古屋空港
・静岡空港
・松本空港
・那覇空港
・富山空港
・広島空港
・鹿児島空港
などに設けられているほか、神戸空港などでも設置準備が進められている。
北海道では、基幹空港である新千歳空港を中核として道内空港全体のゲートウエイ機能の強化を図り、ビジネスジェットの受け入れをスムーズに行うことで、北海道内空港全体への波及効果を狙う。
旅客のプライバシー確保
ビジネスジェットの利用促進に向けては、空港における
・専用施設
・動線
の確保が最重要課題となる。
北海道内の空港では現状、いずれもビジネスジェット旅客専用の動線が確保されておらず、ビジネスジェットの旅客も定期便の一般旅客と同じ動線でCIQ手続きを行うため、これまでは定期便の旅客が集中する時間帯に相当の待ち時間が発生していた。
専用施設と動線の確保に向けては、ビジネスジェット利用旅客のプライバシーの確保も重要となる。
北海道エアポートは、2020年度からの5か年計画で、基本的な取り組み方針として、世界の観光客を魅了し、北海道全域に送客するマルチ・ツーリズムゲートウエイの実現に向けた成長基盤の構築を目指している。
新千歳空港のエアライン受け入れ環境の整備として、ビジネスジェット専用施設新設のほか、
国内線旅客ビル施設の到着階拡張や搭乗待合室の混雑緩和
JR新千歳空港駅からの縦導線の改善
など、既存施設の利便性の向上も視野に入れる。また、帯広空港の専用ハンガー新設、他道内6空港の専用導線整備と合わせ、北海道全体でのビジネスジェットの受け入れ体制を強化する。