一般人が乗れない「貨物列車」、いつも何を運んでいるのか? 意外と知らない謎に迫る
貨物列車は日本では旅客列車と同じくらい長い歴史があるが、「乗れない」こともあって、一般の人たちには謎の多い存在だろう。
多様な貨車の時代

また、 タンク車を使ったガソリン、軽油、灯油などの石油類の輸送も、現在の日本で貨物列車が果たしている重要な役割のひとつである。固体だけでなく、石油、化学薬品、ガスなどの液体や気体も輸送されている。
タンク車は、臨海部の製油所から内陸部の油槽所まで大量の石油を運ぶ役割を担っている。栃木県や福島県の中通り地域のように、近くに港がない地域でも安心してガソリンを使えるのは、貨物列車が大量のガソリンを運んでいるからだ。
タンク車は油槽所からガソリンスタンドまできめ細かくガソリンを運ぶ役割を担っており、鉄道と自動車はお互いの利点を生かした石油類の輸送を行っているのだ。
平時の石油類の輸送に欠かせないタンク車だが、非常時にもその力を発揮する。
2011(平成23)年3月の東日本大震災では、仙台の製油所が被災し、東北本線が寸断したため、東北地方は深刻な燃料不足に陥った。そこで、東北地方の復興に必要な燃料を輸送するため、普段は石油輸送に使われていない日本海側の路線を臨時の石油類輸送列車が走ったのだ。
かつての貨物列車は、現在よりも多種多様なものを運んでいた。さまざまなものに対応する専用の貨車が数多くあった。例えば、家畜は生きたまま運ばれた。
これは現在では効率的な輸送方法とはいえないが、かつては冷凍技術が発達していなかったため、家畜は生きたまま輸送される必要があった。
もちろん、冷蔵・冷凍のできる貨車が登場してからは、肉もこの方法で運ばれるようになった。鮮魚も冷蔵貨車で直接運ばれ、人を乗せた特急列車並みの扱いで、市場に運ばれていた。しかし、トラック輸送との競争に敗れたり、貨車からトラックへの積み替えが容易なコンテナに集約されたりして、さまざまな形態の貨車は姿を消した。