日産は「中国EV市場」で逆襲できるか? 新戦略「DNA+」にみる、新型10車種が握る命運とは
					日産自動車は中国での販売不振に苦しんでおり、今後中国事業をどのように展開するかが経営戦略上重要なファクターとなっている。今後を読み解く。				
				
				中国合弁シフトする日産のEV戦略

日産の2023年10月の中国市場における新車販売台数は、前年同月比17.5%減の7万3272台となり、5か月連続の前年割れとなった。トヨタとホンダは9月、10月と2か月連続で前年同月を上回り、日系自動車メーカーの明暗がわかれた。
日産は、中国での販売不振の理由について
・EVの急速な普及
・価格競争の激化
を挙げているが、セダンエンジン車のシルフィーが販売台数の半分近くを占め、他に目立った売れ筋モデルがない現状では、販売増に転じる好材料は見当たらない。
このような状況下で中国市場の流れを変えるべく、日産と東風汽車集団の合弁会社である東風汽車有限公司は11月11日、中国におけるEV事業強化のための新戦略「DNA+」を発表した。
その骨子は、
・2026年までに中国で10車種の新エネルギー車を現地開発する
・そのうち4車種は日産ブランドとし、最初のモデルは2024年後半に発売する
・輸出は2025年に開始し、年間10万台を目指す
などとされている。
さらに、日産は電動車の技術開発の主体を東風汽車有限公司に移管する。東風汽車有限公司は約2000人のスタッフを擁し、EVとプラグインハイブリッド車(PHEV)の迅速な開発・生産が可能となる。
DNA+の発表に先立ち、東風汽車有限公司の自社ブランドであるヴェヌーシアは11月3日、リブランディングと、新エネルギー路線への本格参入を発表した。EVプラットホームVitaとLubanバッテリーに加え、新型コンパクト電気スポーツタイプ多目的車(SUV)「VX6」と「大V」、水素燃料電池車も発売された。
これらの発表を踏まえ、日産が中国事業を拡大するのか、それとも将来的に撤退を視野に入れているのか、直近の中間決算資料から探る。