崩壊する中国新車販売市場 日産・ホンダ8月「約3割減」の衝撃、日本が今後ウォッチすべきは韓国企業の動向だ
今後さらに広がる地政学リスク

最近明らかになった情報によると、日系大手自動車メーカー3社の中国市場における8月の新車販売台数が前年同月比で大きく減少していることがわかった。減少はここ3か月連続となったが、トヨタの新車販売台数は前年同月比6.6%減の17万5800台で、日産が28.9%減の6万4905台、ホンダが25.1%減の10万2257台とそれぞれ減少した。
これについては、
・日本の自動車メーカーが電気自動車(EV)のラインアップ拡充で中国自動車メーカーに出遅れた
・中国国内でEVを中心とした販売競争が激しくなっている
ことが指摘され、他の業種にも当てはまるが、メイドインジャパンの求心力が中国市民の間でかなり低下しているともいわれる。
一方、同様の減少は韓国でも見られる。韓国の大手自動車メーカー・現代は6月、中国市場での販売不振から、中国の国有自動車大手・北京汽車集団(BAIC)との合弁会社である「北京現代」の工場を2か所に縮小する方針を発表した。
現代自動車の2022年の中国での販売数はおよそ26万台だったが、7年前の113万台から77%あまりも減少しており、今後も販売数が落ち込めば、さらなる縮小(最終的には撤退か)が予想される。
韓国企業は21世紀に入り、積極的な対中投資を行ってきたが、近年は中国進出の韓国企業の間では売り上げ減少が広がり、中国ビジネスの再編が顕著になってきている。これは自動車メーカーだけでなく、業種を問わず共通している。
日本の大手自動車メーカーの売り上げ減少の背景には、上述のような非政治的な背景が主な理由であり、地政学リスクによる影響はかなり限定的だろう。しかし、経済や貿易の領域が主戦場となる米中対立、有事の潜在的リスクが残る台湾情勢などを考慮すれば、自動車業界だけでなく中国に進出する全ての日本企業にとって、今後経営戦略を考える上で地政学リスクが占めるシェアというものはいっそう広がることだろう。