「園児バス置き去り」撲滅に向かって状況改善中 でも安全装置設置に反対意見も いったいなぜ?

キーワード :
, ,
2021年7月、福岡で5歳の園児が送迎バスに置き去りにされ、尊い命の重さを知る事件があった。続いて2022年には静岡でも同様の事件が発生した。

送迎バス置き去りに対する対策内容

送迎バスのイメージ(画像:写真AC)
送迎バスのイメージ(画像:写真AC)

 国土交通省によると、送迎バスに装着する装置としては、次の2種類と、これらの機能を兼ね備えた装置が考えられる。

・降車時確認式の装置
・自動検知式の装置

 降車時確認タイプの場合、エンジン停止後、警報音で車内確認を促し、車両後部にある解除ボタンを押す。ボタンを押さないと、一定時間後に車外で警報が鳴る。また、自動検知システムは、エンジン停止から一定時間後にカメラなどのセンサーで車両を検知し、反応があれば車外で警報が鳴る。

 両システムに共通する特徴としては、ドライバーが車内を確認しなかった場合、15分以内に内外アラームが鳴ること、「いたずら」を防止するためのボタン配置、耐久性の要件、故障時のアラーム機能などが挙げられる。

 一方、同省はガイドラインの検討にあたり、次の問題点を指摘した。

・降車時確認式の装置は、車内確認を強要する装置ではなく、園側のマニュアルやチェック体制が組み合わさることで、初めて有効に機能する
・自動検知式の装置は、いかなる状況下でも検知可能なセンサーは存在せず、座席の下など検知不可な場面も想定し、人員確認の補完的な装置の位置づけとなる

 つまり、保護者からの登園連絡、送迎ドライバーと各担当者による二重三重のチェック、担当者によるチェック体制の確立といったソフト面が重要であり、各装置は補完的な位置づけとされている。

 一方、筆者が実施した独自アンケートでは、各安全装置の設置に反対する意見もあり、根本的な原因は別のところにあるという意見を紹介する。

全てのコメントを見る