「園児バス置き去り」撲滅に向かって状況改善中 でも安全装置設置に反対意見も いったいなぜ?

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2021年7月、福岡で5歳の園児が送迎バスに置き去りにされ、尊い命の重さを知る事件があった。続いて2022年には静岡でも同様の事件が発生した。

装置反対の声も

送迎バスのイメージ(画像:写真AC)
送迎バスのイメージ(画像:写真AC)

 筆者がウェブ上にて74人を対象に実施したアンケートのうち、装置装着に反対する意見はふたりだった。抜粋内容は次のとおり。

・機器に頼って目視の確認行為をおろそかにすると感じる。皆とても忙しいので、なおさら機器があると安心してしまうと思う

上記の問題点は、「装置過信」「人手不足」である。後者の問題は保育水準にも大きく関わってくるが、今回は「装置過信」という視点で検証してみたい。

 米国の国家運輸安全委員会は、2018年に高速道路で発生した「自動運転中の事故」について、「運転者の先進安全装置に対する不注意・過信」と結論づけた。

 衝突した車両は米国の消防車両で、同委員会は複雑な形状や時速50km以上の速度ではセンサーが検知できなかったり、検知が遅れたりする可能性があると報告した。

 この車両のドライバーは、30分の運転時間のうち78秒間しかハンドル操作を許されなかったことから、「先進安全装置に対する不注意・過信」と認定された。

 センサーや装置を過信することは好ましくないことを示す事例ではあるが、置き去り防止装置の設置や意識の向上により、車内置き去り率が5.6%から1.5%に減少していることも事実である。車内置き去り防止装置を装着したドライバーの意見は、次のとおりだ。

・実際に設置して手間が増えた感はあるが、確実に車内後方まで行かないといけないので置き去りの事故は減るものと考えます

 こども家庭庁では、安全装置マニュアル、園長の管理体制、ヒヤリハットの共有、置き去り時の訓練などのソフト面の対策も示している。

 ヒューマンエラーを補完する装置として、装置を過信することなく、ソフトとハードの両面の対策が組み合わされて、「車内置き去り率0%」が達成される未来を信じたい。

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