中国に猛追の韓国「造船」のいま 沈没ニッポンは浮上できるか 水面下の動き

キーワード :
, , , , ,
造船における韓国のシェアが中国に肉薄している。2か国で世界の建造量の大多数を占めるなか、かつての造船大国ニッポンはなかなか浮上できない。その水面下で起こっている再編の動きは、今後さらに加速する可能性がある。

ゼロエミ船で起死回生なるか?

 衰退に歯止めがかからない感もある日本の造船業界だが、起死回生のチャンスも存在している。それは海運業界における「ゼロ・エミッション」の加速だ。

 IMO(国際海事機関)は2018年4月、国際海運分野における温室効果ガスの排出量を2050年までに2018年比で50%低減し、今世紀中にゼロにすることを目指す「温室効果ガス削減戦略」を採択している。

 この戦略を実現するため、IMOは2021年6月、これまで新造船のみに適応してきたCO2排出規制を既存船にも適応し、燃費性能の低い既存船にエンジン出力制限や省エネ改造といったペナルティを科すことで、温室効果ガス排出量の少ない新造船への更新を促進する既存船燃費性能規制(EEXI)・燃費実績(CII)格付け制度に関する条約を、全会一致で採択した。この制度は2023年からの適用される予定で、それに備えた既存船の更新需要も活発化している。

 日本の造船業は環境対策技術では世界的に見ても高いレベルにあり、ゼロ・エミッションの潮流は日本の造船業復活の追い風となるとの見方もある。

 三井E&S造船は艦艇と官公庁船事業を三菱重工業に売却し、商船事業に関しても常石造船との資本提携により建造から撤退する一方で、ゼロ・エミッションの潮流に対応する、水素などの次世代エネルギーを使用する船舶用エンジンの開発などに注力して生き残りを図っている。

 ゼロ・エミッションの潮流は日本の造船業復活の好機ではあるが、それを活かすための技術開発には、多額の投資や、産官学の連携のさらなる強化が必要となる。このため今後は三井E&S造船の事例のような、潮流に乗れる企業となるための事業転換や合従連衡に伴い、造船業界のさらなる大規模再編が起こる可能性も十分あると考えられる。