京都市の「観光公害」 45年前廃止の「市電」が現役だったら避けられた?

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京都の観光公害は依然として解決されていない。この状況を受けて、インターネット上には「京都市電を廃止したのは間違いだった」などの意見が出ている。

市電廃止は歴史的な失策

京都市(画像:写真AC)
京都市(画像:写真AC)

 結局のところ、京都市電の廃止は歴史的な失策だった。その理由をまとめると次のようになる。

 第一に、京都市電は嵯峨・嵐山地区を除くほとんどの主要観光地を網羅しており、存続していれば現在の混雑を緩和する手段になっていたはずである。市電廃止後、京都市の渋滞問題は解決していない。現在でも渋滞は深刻で、路線によってはバスの定時運行が困難なところもある。この点で、自動車の軌道内通行を禁止して、市電路線を守るべきだった。

 また、市電に代わって整備された地下鉄も、路線数が少ないために十分な代替交通手段とはいえなかった。結局、多くの地域では市電が廃止された後、バスが主な公共交通手段となっている。

 特に、地下鉄が環状に建設できない現状を考えると、少なくとも環状線である市電外周線(九条通~西大路通~北大路通~東大路通)は存続させるべきだった。存続か廃止かだけが議論になり、十分な検討がなされなかったことは、改めて反省すべき点である。

「市電の復活」ともいえるLRTの実現も、京都市にとっては難しい。それでも、せめて渋滞区間では、バス専用レーンの確保で定時運行の確保が可能だと思うが、皆さんはどうお考えか。

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