京都市の「観光公害」 45年前廃止の「市電」が現役だったら避けられた?

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京都の観光公害は依然として解決されていない。この状況を受けて、インターネット上には「京都市電を廃止したのは間違いだった」などの意見が出ている。

宇都宮LRTが支持されたワケ

宇都宮市のLRT(画像:写真AC)
宇都宮市のLRT(画像:写真AC)

 新たにLRTを導入した宇都宮市でも、事業実現の過程では反対が多く、何度も計画が頓挫しかけている。

 先日、江戸川大学社会学部の大塚良治教授が当媒体に寄稿した「宇都宮LRTの反対派代表、西側延伸認可で「行政訴訟を検討」と発言! 開業2か月も依然立ちはだかる“3つの課題”を考える」(2023年10月31日配信)にもあるように、開業した現在でもなお解決すべき課題は多いのだ。

 宇都宮市のLRTは、これからの高齢化社会における利用しやすい公共交通システムのあり方を明確にすることで実現した。単にLRTの路線を新設するのではない。LRTの一部の停留所がターミナル機能を持つトランジットセンターとなり、LRT路線を中心に路線バス、地域交通、デマンドタクシーなどの公共交通網が構築される交通システムが明確に示された。実際の建設期間よりも、ビジョンを明確にし、市民の理解を求めることに多くの時間が費やされた。

 対照的に、京都市の場合は議論がそれほど深まっていない。どのような路線が必要なのか、市バスの路線網をどのように変えていくのか、といった問題提起にとどまっている段階だ。つまり、LRTの導入が渋滞緩和にもつながるかどうかは、まだ明確になっていないのである。

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