郊外のシンボル「ロードサイド店舗」 なぜ激増し、そして衰退したのか? 昭和~令和の心象風景を探る

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郊外の幹線道路沿いには、駐車場を備えたロードサイド店舗が連なっている。こうした風景は、今や日本各地で当たり前のように見られる。これらはどのようにして形成されたのだろうか。

ロードサイド店舗の成立

ロードサイドのイメージ(画像:写真AC)
ロードサイドのイメージ(画像:写真AC)

 郊外の幹線道路沿いには、駐車場を備えたロードサイド店舗が連なっている。こうした風景は、今や日本各地で当たり前のように見られる。これらはどのようにして形成されたのだろうか。

 ロードサイド店舗の発展は、

・自動車の普及
・幹線道路の整備

というふたつの大きな流れに支えられてきた。自動車検査登録情報協会の統計によると、自動車の保有台数は1966(昭和41)年の812万3096台から1976年までの10年で、259%増となる

「2914万3445台」

へと急増。結果として、国道や県道などの幹線道路の整備が進んだ。このとき、都市部の狭い既存道路の拡張は困難だったため、新しいバイパスや環状道路が建設された。ロードサイド店舗が立地したのは、これらの新しい道路沿いだった。

 今日のロードサイド店舗といえば、

・カー用品店
・カーディーラー
・ショッピングモール
・スポーツ用品店
・コンビニエンスストア
・ドラッグストア
・ファミリーレストラン
・ファーストフード店
・新古書店
・ホームセンター
・家電量販店
・シネマコンプレックス

など、業種は実に多様である。これらの多様性は突如出現したわけではない。初期のロードサイド店舗は、その店を目当てに客が訪れることを見込んだものではなかった。

 ガソリンスタンド、ドライブイン、ラーメン店、パチンコ店がロードサイド店舗の主な業態を占めた。これらはドライバーが運転中に一時的に立ち寄ることを目的としていたため、現在のような標準化・規格化(全国どこでも同じタイプの店が展開されること)はまだなされていなかった。単に

「通りすがりに立ち寄る便利な場所」

として機能しており、特定の店に向かうという現象はまれだった。

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