日本発「電気運搬船」船級取得へ 世界最大の船級機関DNVが意向「変化の先駆者に」

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世界に類を見ない「電気運搬船」の建造に対し、世界最大の船級機関DNVが船級取得に動き出す。洋上・陸上電力設備の既成概念を一新する計画に、世界が注目している。

パワーエックス社とDNVが意向表明書を締結

電気運搬船「Power ARK100」のイメージ(画像:PowerX)。
電気運搬船「Power ARK100」のイメージ(画像:PowerX)。

 自然エネルギーの普及、蓄電、送電の新規事業を展開する株式会社パワーエックス(PowerX)は2021年12月17日(金)、建造を計画している電気運搬船「Power ARK」の船級取得の本格始動に向けて、世界最大の船級機関「DNV」(ノルウェー)とLOI(意向表面書)を締結した。

 パワーエックスは、ZOZOの取締役兼COOを退任した伊藤正裕氏が設立したベンチャー企業。洋上風力などによる電力を、海底ケーブルで送電する代わりに、コンテナ型の蓄電池に電気を貯めて需要地まで船で運ぶことを計画している。これにより、さらに沖合へ洋上風力を建設することが容易になるほか、海底ケーブル敷設による環境面の負荷や送電コストも抑えられるとしている。

 パワーエックスとDNVの協力項目は次の通り。
・電気運搬船のコンセプトにおける評価と電気運搬船に関連する主要規格や船級認証の特定。
・安全性の検証と法定認証に適用する関連規格の提案および法定規制が不十分もしくは存在しない場合における代替案の提示。
・電気運搬船内に搭載されるバッテリーシステムの認証。
・電気運搬船のシステム設計や、船舶電池の安全性や性能のシミュレーションを通した最適化戦略の提示。
・電気運搬船の安全性と性能に関連する新たな船級規格の検討及び導入。

 DNVのマリタイム・特殊船舶部門 セグメントディレクター Arnstein Eknes氏は今回のLOI締結を「単純にPower ARKコンセプトへの関心を示すだけでなく、DNVも変化の先駆者となる決意を表明」するものとコメントしている。

 パワーエックスはかねて、このプロジェクトによる「自然エネルギーの爆発的普及」をミッションに掲げているが、DNVがこれに共鳴したものといえる。両社は「洋上・陸上電力設備業界の既成概念を一新し、自然エネルギー分野における新たな可能性を開拓していきます」としている。

 なお、パワーエックスはこの12月に今治造船とPowerARK」プロトタイプ船の建造について資本業務提携を結んでおり、2025年末までの実現を目指すとしている。実証実験後に本格稼働する「Power ARK」は、小型船(220MWh程度)でも1回の航行で20万9千世帯分の電力を運搬できる想定だ。